ディズニーの新人キャストが15分で悟る本質 この「育て方」はどんな職場でも応用できる

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アルバイトの研修風景。新人キャストは3日で現場に出る(撮影:今井 康一、写真は2012年10月)

春休み真っただ中。読者の皆さんの中で「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」のいずれか、ないしは両方を訪れているという人もいるでしょう。1度でもディズニーランドやディズニーシーへ行ったことがある人なら、そこで働いているキャスト(スタッフ)を見て、「どうしてあんなに楽しそうに、前向きに働けるんだろう」と思ったことはありませんか?

結論から言いましょう。どんな職場でも、ちょっとしたコツさえ押さえれば、メンバーをディズニーキャストのような人たちに変身させることができます。みんなのモチベーションが高まり、成果が上がり、チームとしてより輝くことができるようになるのです。

私は、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドに17年間勤め、人材トレーナーとして10万人以上のキャストを指導してきました。実は、キャストたちは、たった3日の研修で表舞台にデビューします。

普通の学生や主婦がいかにして、ディズニーキャストになっていくのか。拙著『3日で変わるディズニー流の育て方』にも詳しくまとめていますが、ディズニーには、単に褒める、しかるだけではない、「魔法の育て方」が存在します。

メンバーが担うべき、本来の「役割」を伝える

ディズニーの教育では、キャストに本来の役割を理解してもらうため、努力と工夫を惜しみません。

私が新入社員の頃に実施され、いまだに忘れられないOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)があります。

それは開園時に「パートナーズ像の前に15分間立っている」というものです。東京ディズニーランドのワールドバザールの大屋根をくぐると、目の前にシンデレラ城が見えてきます。その正面に立っているのが、ウォルト・ディズニーとミッキーマウスの「パートナーズ像」です。

ある日、トレーナーの先輩は、開園直前に私をその像の前に連れて行きました。そしてそこでなにもしゃべらず、ただゲストがこれから来園するであろう入場ゲートの方角を見つめています。私は不思議に思いながらも先輩の横に立ち、ただただ同じ方向を見ていました。

朝8時。ゲートが開くと、さっそくゲストがこちらに向かって足早に歩いてきました。

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