森友学園問題、「忖度の物証」が持つ"破壊力" 籠池氏から職員に宛てた書面の中身とは?

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だが官邸は乗り気だ。3月29日午前の会見で、菅義偉官房長官は「政府として必要な協力を行っていきたい」「確かな証拠のもとに、事実が解明することを期待したい」と偽証罪による籠池氏の告発に意欲を示した。

では「事実」とはいったい何なのか。

23日の籠池氏の証人喚問をきっかけに、昭恵夫人付きの政府職員から籠池氏宛てに送られたファックス(2015年11月17日付け)の存在が明らかになっている。

その内容は、①10年の定期借地権は比較的長期で、50年の定期借地権への変更は無理なこと、②土壌汚染や埋設物の撤去期間でも賃料が発生することは契約書により了承済みで、撤去費用は買受けの際に考慮されること、③撤去工事費用は平成27年度の予算では処置できなかったが、平成28年度の予算措置を行う方向で調整中であることだ。

これらについて政府は、「ゼロ回答で、昭恵夫人が関与したことにならない」「夫人付き職員が個人的にやったこと」との主張を繰り返している。

籠池氏から夫人付き政府職員に宛てた書面の中身

しかしこのファックスは籠池氏からの問い合わせに対して送られたもので、官邸は昭恵夫人付きの政府職員からのファックスを公開した時、籠池氏からの封筒をも公開した。だがそれに入っていた書面の内容については、「籠池氏本人に確認をとってから公開する」として出し渋っていたのだ。

ところが、共産党の大門実紀史参議院議員がこれを公開した。3月28日の参議院決算委員会で、籠池氏から夫人付き政府職員に宛てた書面(2015年10月26日付け)の内容を紹介したのである。

ちなみに籠池氏の要望のうち主なものは、①土地を買い取りたいが、資金調達の都合で賃借したい。ついては50年の長期の借地権にして経営を安定させたい、②賃料が高いので半額にしてほしい、③工事費が年度内に予算化されていないというものだ。

①については50年の長期賃貸借は実現しなかったものの、土地の買い取りが2016年6月20日に実現しており、②については賃料が半額以下に下がっている。③については年度明け早々の4月6日に支払われている。

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