「ワンオク」は世界でベビメタを超えられるか 米国人の元ミュージシャンが分析!

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日本では、BABYMETALの海外での快進撃は知られているところだ。しかし、どちらが海外、少なくとも、北米で成功する可能性があるかと尋ねられたら? 野外競技場でメインを張っていることはすでにかなりの成功を示すものではあるが、さらに高みを目指して、この両バンドが次に北米に来たときに、スタジアムを大観衆で埋めることができるかどうかを分析してみよう。

BABYMETALには確かに「個性」というマーケティング上の強みがある。音楽にうるさい私の友人たちが初めてBABYMETALを見たとSNSで報告するときはいつも、彼らの投稿はビックリマークであふれる。BABYMETALは楽しい。音楽民族学者で、日本の現代音楽に詳しいジェニファー・ミリオト・マツエは著書「Focus: Music in Contemporary Japan(焦点:日本の現代音楽)」でBABYMETALを「混じり合っていて曖昧でクレイジーなJ-Popの最高の形」と表現している。

ONE OK ROCKの音楽とはいったい何か

だが、メタルのコンサートで生き残るにはスタミナが必要だ。BABYMETALをよく知り、愛している大量のJ-Rockファンだけでなく、世界にファンを増やすにはこれから真のメタルファンを獲得していかなければいけない。キング・ダイアモンドを生で見て、ツアーTシャツも持っている、というような、ガチなメタルファンのために言っておくと、米国のメタルオタクのBABYMETALに対する反応は、平均的なJ-Rockファンと比べるといささか冷ややかである。

一方、ONE OK ROCKはどうだろうか。その前に、彼らがどんな音楽なのか改めて考えてみたい。ワシントン州シアトルのストレンジャー紙は、彼らを「エモ(エモーショナル・ハードコア)、ロック、そしてメタル」と評している。実際、ONE OK ROCKは次々にありえないようなマッシュアップを成功させている。

2013年に発売されたアルバム『人生×僕=』に収録された「Ending Story??」では、メインのリフでGreen DayやSum 41のパワーパンクを思い起こさせ、クラシックの弦楽器とラップを持ち込み、メタルへと変わり、その後コーラスのかかったボーカルで呼びかけ、応える伝統的なパンクのリフへと自らを立て直してから、急停止して最後にメタルへとまた変わる。こう書くと、詰め込みすぎで訳がわからなそうだが、仕上がりはその逆で、それぞれのパートは説得力を持って、次のパートへと変わっていく。

私は通常、「何もかもを詰め込んだ」と揶揄される楽曲のファンではない。だが、ONE OK ROCKのこの曲は、「混ぜこぜ」が相乗効果を生んでいる。2015年に発売されたアルバム『35xxxv』でも、いくつかの曲は過剰なプロデュースに苦しんでいるものの、その音楽への情熱が浮かび上がってくる。

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