形だけのガバナンス改革は不要
企業価値向上につながる取締役会改革とは?
KPMGジャパン
●エグゼクティブセッションの活用
酒井:社外取締役にとって、取締役会での審議により貢献するためには、議案や事業そのものに関する情報を執行側から事前かつ十分に提供されることが必要となります。「独立社外者のみを構成員とする会合を定期的に開催するなど、独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図るべきである」とするガバナンス・コードを実施している企業が88%に上るとするデータがあります。
社外取締役が審議に貢献するうえで、社外と社内、あるいは社外取締役間での「目線合わせ」は重要です。取締役会の前後に社外取締役中心に集まる緩やかな会合、いわゆる「エグゼクティブセッション」はどのように活用できるでしょうか。
川本:アジェンダ・セッティングはとても大事です。さらに議長は取締役会の最後に、「本日用意した議題はこれですけれどもほかに何かご発言がありますか」と必ず聞かなければならないと思います。そうすると、社外取締役からの議題提供の機会ができます。また、社外取締役だけで議論する場があってもいいのではないでしょうか。
澤口:ガバナンス・コードで例示されているので、日本でも急に増えてきた印象です。一般には、エグゼクティブセッションは取締役会の後に行われていますが、米国の実務などを聞くと、事前に行うところも多いようです。いきなり取締役会を開くよりも、議題について少し社外で意見交換して臨むと、かなり踏み込んだ議論ができるので、そういう考え方も選択肢の一つになると思います。