息子が幼いと悩む親に伝えたい「2つの視点」 自発的に動かない子に親ができること

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そのような状況にある日親が気づいて、「中学生なのだから自分のことは自分でやって」「勉強は言われなくても自分からやるべき」といきなり言ったところで、その状態しか知らない子どもは急には動けません。

平田さんのケースはこのパターンに当てはまるかもしれません。もし、このパターンであるならば、次のパターン3を目指してみましょう。

【パターン3:チューニングして、その後レベルアップまでもっていける状態】

これは、子どものレベルにピントを合わせチューニングし、徐々に大人の考え方や高度な思考へと引き上げていくパターンです。できる指導者はよくこうしたやり方を取り入れています。

決して、初めから大人に無理やり合わせようとせず、また子どものレベルにとどまり続けるのでもありません。チューニングしたうえで、一歩一歩レベルを引き上げていくのです。では、そうもっていくための方法を1つ紹介します。

【日常の言葉の質を上げて、子どものレベルを引き上げるという方法】

私が今まで生徒と接していてとても大切であると感じたことに、生徒と対話の際、使用する言葉のレベルを高くするという方法がありました。これは授業中より休み時間など、生徒と授業以外で話をするときに有効でした。

授業中、テキストに出てくる言葉は難しい言葉が多いので、逆にわかりやすい言葉で表現します。しかし授業以外の日常会話では、通常は平易な言葉を使うところ、それをあえて難しい言葉を使うようにしました。

たとえば、家でお母さんに怒られた生徒がいたときに「そうか、お母さんはかなり“憤慨”したんだね」と言ってみたり、家庭内でけんかをしてしまって家族から白い目で見られているときに「完全な四面楚歌状態だね」というように表現したりしました。生徒はそのとき意味がわからなくとも、雰囲気で何となくわかるものです。

成長に合わせ、話題や言語レベルも変えていく

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家庭でも相手が子どもであると、その子に合った言葉を使うのが普通ですね。しかし、子どもは成長しているので、本来はその成長に合わせて話題や言語レベルも変えていく必要があるのです。すると子どももそれなりに対応し、一人前の人として扱ってもらっているという印象を持ちます。

ですから、平田さんも、今後は会話で使用する言葉を少し変えて対応されてみたらいかがでしょうか。すると面白いように雰囲気が変わる場合があります。つまり子ども対応ではなく、大人対応している雰囲気を作っていくのです。すると、やがて自立への一歩が見えてくるでしょう。

パターン2であった方が、パターン3へいきなり変えると子どもが当惑するため、「徐々に」変えていく必要があります。それには多少時間がかかるので、計画を立てると、忘れることもなくよいでしょう。

「1カ月後には子どもが自分で〇〇はできるようにする」「3カ月後には〇〇ができるようにする」と手帳に書き込み、日々、どのような変化があったかを日記のように書き記し、目に見える形にするのです。そうしていくことで、その状態が少しずつ実現できるようになっていくはずです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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