トヨタとホンダ、充電インフラ推進の思惑 HV先行の2社が日産、三菱自のEV陣営と連携

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フル充電の場合でも最長で200km弱という航続距離の短さと、充電にかかる時間の長さ、価格の高さなど、量産EVの弱点を補うには、充電インフラの整備が欠かせない。日産、三菱自にとっては、トヨタ、ホンダという援軍を得たことは大きい。

HVは量産化から時間も経ち、技術も洗練

一方、トヨタ、ホンダといえば、HVの展開で先行している。既存の燃料インフラが使え、燃費を大幅に伸ばせるHVは、量産車に搭載されて15年以上の月日が流れ、技術も蓄積・洗練され、消費者の信頼も高まっている。最近では高級車や大型車にも搭載されているほどで、トヨタ、ホンダはますますHVへ傾倒している。

「プリウスPHV」も充電可能

その2社が展開するPHVは、EVのように充電のみで走れるのが魅力とはいえ、「夜中に自宅で充電すれば十分で、出先ではガソリンのみで走るので、急速充電する必要があるかといえば、そのニーズはあまりない」と関係者は明かす。トヨタ、ホンダともにEVは、少人数乗りで短距離移動するシティコミューター向けの需要はにらんでいるものの、本格的な乗用車向けとしては、あまり力を入れていない。ただ、今後、EV向けの電池などに目覚ましい技術の進化があれば、情勢は変わる可能性はゼロではない。

トヨタ、ホンダ、日産はいずれも海外の大手メーカーと組み、“究極のエコカー”とされる燃料電池車(FCEV)の将来的な普及をにらんだ技術開発も進めている。その点を考えると、トヨタ、ホンダが充電インフラの推進に加わったのは、可能性の一つに保険をかけておく、という意味合いが強そうだ。EVの普及にしゃかりきな日産、三菱自とは、やや温度差がある。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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