リアルに回帰する、消費者 なぜ、日本人はモノを買わないのか?【第2回】

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ますます重要性が増すO2O

以上のようにリアル店舗の重要性はさらに高まっているが、「リアル回帰」という表現は、決してインターネットとリアル店舗との二者択一で、リアル店舗が選ばれているという意味ではない。最近では、リアル店舗のみ、もしくはインターネットのみで、探索→検討→購入といった一連の消費行動を完結させる消費者は少なくなっている。

このことは、O2O(Online to Offline)と呼ばれるEC(電子商取引)を通じた新たなビジネスモデルにも関連する事柄として、大変興味深い。野村総合研究所では、O2O市場の市場規模は、2013年度の約35兆円から、2017年度には約51兆円に拡大すると予測しており、リアルとネットの融合は、今後も重要性が増していくテーマである。

情報過多の現代、オンライン(インターネット)とオフライン(実際の店舗チャネル)を適切に組み合わせながら、信頼できる情報を消費者に提供していくことが企業には求められている。

日戸 浩之 野村総合研究所 経営コンサルティング部マーケティング戦略グループマネージャー

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にっと ひろゆき

野村総合経済研究所 経営コンサルティング部マーケティング戦略グループ・グループマネージャー、上席コンサルタント。1985年東京大学文学部社会学科卒業、同年野村総合研究所入社。1996年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。専門はマーケティング戦略立案、生活者の意識・行動分析、サービス業(教育、人材関連)の事業戦略など。現在、北陸先端科学技術大学院大学客員教授を兼務。共著書に『変わりゆく日本人』(1998年)、『[続]変わりゆく日本人』(2001年)、『第三の消費スタイル』(2005年)、『大衆化するIT消費』(2007年)などがある。
 

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