今の日本の経営者は、しょうもなさすぎる テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る(中)

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自分の軸、自国に対する誇りを持つ

海外の人と付き合うとき、日本のまじめな人は、異文化を理解しようとして相手のことを一生懸命勉強します。もちろんそれも大事ですよ。でも僕はとにかく自分の軸を持つとか、日本の民族に対する誇りを持つことのほうが大事だと思っているのです。

僕もアメリカに行った頃は日本のことがいやでした。意思決定できないとか、しがらみが断ち切れないとか、年功序列とか。でもアメリカに行ってから日本史を勉強し始めたのです。それから「坂の上の雲」という僕が好きな日露戦争を描いた司馬遼太郎の歴史小説がありますが、30歳を超えてから読んで、「こんな人が昔、いたんだ」と思って感動しました。僕は日本人はすごい民族だと思っています。

こういうベースがあることは非常に重要です。でもそれは普通に考えたら、当然のことなのです。ほかの国の人たちだって、自国に愛想を尽かしたくなるときはあるだろうと思うのですが、これはまったく逆。海外のエリートは、みんな基本的に愛国心が強い。海外のリーダーは「俺は国のためにこれをやっている」と本気で思っている。どこの国でもそうです。僕は普通の日本人とそこの部分が全然違うから、「自分の国をよくしたいと考えているお前はすごい」ということで、尊敬されるんですよね。

ベンチャーの成功例はいくらでもある

シリコンバレーに限らず、海外ではHTC、Foxcon、HUAWEI、TSMCなど、小さいベンチャー企業が瞬く間に急成長して、国を代表する大企業になった例がいくらでもあります。イノベーションを起こして急成長し、雇用も生んで、税収も生んで、最終的に国を牽引している。

でも日本だけ、そういう会社がない。だからそれを僕たちの会社がやりたいのです。アメリカの液晶テレビ市場では、VIZIOという会社がシェアトップです。でもこれはわずか10年前にできたベンチャー企業で、社員はたかだか198人ですよ。ファブレス(工場を持たない)だからですけど。もしこれと同じことが日本でできたら、たぶんみんなびっくりするでしょう。日本のテレビの市場で、たかだか10年前にできたベンチャーが、ソニーとか、パナソニック、シャープを押さえてトップのシェアをとったら、世の中変わると思います。

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