【完全保存版】東電株主総会、全議事録(2) 3時間41分にわたるやりとりを、すべて公開

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2点目はベント設備の設置についてです。原発が爆発するのを防ぐためとはいえ、大量の放射能を放出する設備を取り付けることは、これまでの地元の了解事項にはありませんでした。放射能は五重の壁に守られて、住民には影響を与えないはずでした。ベント装置を取り付けるなら、もう一度地元の了解を取り付けてからにしてください。
 3点目は、例えば大陸からミサイルが飛んできて、原発の建屋に命中したときにどうなるのか。私たちはミサイル発射実験が行われるたびに、命の縮む思いをしています。対ミサイルの原発建屋などの強度についても検討し、結果を示してください。

4点目は原子力防災計画についてです。新潟県では今、泉田県知事を筆頭に、福島の悲劇を新潟で繰り返さないために、避難計画のシミュレーションが繰り返されています。しかし、それはしょせん、人間をどうやって逃がすのか、ということでしかありません。それ以外はせいぜいペットの処遇が検討されている程度です。新潟の基幹産業とも礎ともいえる田畑はどうなるのでしょうか。牛や豚や鶏はまたしても置き去りにされるのでしょうか。農家である私たちは、たとえ命が助かったとしても、田畑や水、家畜や森が放射能で汚染されてしまえば、生活の糧をすべて失ってしまうのです。

福島でもう十分に放射能の事故の恐ろしさは証明されました。
 最後に柏崎刈羽原発が動かないと決まったら、地元自治体も関連業者も廃炉産業や新エネルギー産業の創設など、新しい一歩を踏み出すことができます。そのためにこそ株主の皆様、柏崎刈羽原発の廃止を皆様の手で決定していただきたいと思います。以上です。よろしくお願いします。(拍手)

下河邉会長: 9号議案の補足説明、ありがとうございました。続きまして10号議案についていかがですか。はい、よろしくお願いします。

911番・女性: 番号911です。第10号議案について説明いたします。開催通知書の15ページをご覧ください。福島第一原発が大事故を起こしてから早くも3回目の株主総会となりました。事故後、わが社は原子力に懲りただろう、原子力発電を運営する能力はないと悟っただろう。原子力発電から撤退する決意を固めただろう。そう考えていました。

でも一昨年の総会でも、昨年の総会でも、経営陣は皆様にご心配、ご迷惑をお掛けしたという、謝罪も反省も感じられない言葉を繰り返すばかりで、一向に原発からの撤退を表明しませんでした。昨年度にわが社生え抜きではない会長が就任したので、何か変わるのではないかと期待したのですが、今のところ目立った変化は感じられません。わが社に抗議に来られた福島の被害者の方々への対応などは、相変わらずひどく頑なで、心を失くしたのではないかとさえ疑いたくなります。

さて福島第一原発の現場では、今でも月に数百人ずつ被ばく労働者が増え続けています。事故の起こった2011年3月から今年4月末現在の累計では、2万7,000人を突破しています。また放射能に汚染された水が毎日400トンも出ています。さらに汚染水を貯める設備での水漏れといったトラブルもあります。

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