ネットで「偽ニュース」を拡散するのは読者だ ネットと紙媒体の本質的な違いとは?

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ネットがジャーナリズムの主戦場になり始め、受け手だった消費者も出し手として一部を担うようになった(写真:sasaki106/PIXTA)
英オックスフォード大学出版局は、2016年を特徴づける言葉に「ポスト真実(Post Truth)」を選んだ。その渦中で、信頼性が揺らぐインターネットニュースをどう読んだらいいのか。『「ポスト真実」時代の ネットニュースの読み方』を書いた報道イノベーション研究所代表の松林薫氏に聞いた。

間違ったら訂正していけばいいという発想が…

──キュレーションメディアでの盗用や、米国大統領選挙時に顕在化した偽(フェイク)ニュースなどで、ネットニュースの信頼性が問われています。

ネットニュースはどれがプロの書いたものか、あるいはフェイクなのかとかく見えにくい。過渡期であるだけに、そうとう意識しないと「間違い情報読み」が起こりうる。

──ネット情報自体が訂正を前提にしているのですね。

ネットはそれ自体どんどん更新していくのが文化。そもそもOS(オペレーティングシステム)、つまりウィンドウズにしろiOSにしろ、日々バグを修正していく。リリースした段階ではある意味で未完成、不完全といっていい。問題が出てきたらどんどん変えていく。

ネットニュースも同様で、訂正が技術的に簡単でありコストも安いので、書き手自身が気づいたり指摘があったりすれば造作なく内容を変えていく。それだけ厳正さが緩くなって、掲載の早さが優先される。早く出して、間違ったら訂正していけばいいという発想になっている。質を問題にする以前に、紙で印刷する前提で作られた情報と、初めからネットに流す前提のものとは、その作る情報の思想が違う。そこは読み手としても意識したほうがいい。

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