アドビが「感情は体験の通貨」と説く深い理由 「顧客体験中心ビジネス」のあるべき姿

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Adobe Summitの基調講演にて、Adobe Experience Cloudを発表するシャンタヌ・ナラヤンCEO(筆者撮影)
Adobe(アドビシステムズ)は、米国時間3月21日から23日まで、米国ネバダ州ラスベガスで、顧客体験中心ビジネスをテーマとするイベント「Adobe Summit 2017」を開催した。1万2000人の参加者を集め、年々規模が拡大しているこのイベントの模様を現地からリポートする。

「エクスペリエンスクラウド」が発表された

基調講演では、アドビのシャンタヌ・ナラヤンCEOが、これまで「Adobe Marketing Cloud(マーケティングクラウド)」と呼ばれてきたマーケティング支援アプリケーション群を「Adobe Experience Cloud(エクスペリエンスクラウド)」へ昇華させたことを発表。これまで提供してきたマーケティングに、分析と広告を加え、顧客体験中心にフォーカスしたビジネス作りの重要性を訴えた。

アドビは同社のビジネスを大きく3つの領域に分け、それぞれをクラウド型でサービスを提供してきた。最も印象が強かったのは、PhotoshopやIllustratorといったアプリを擁するCreative Cloud(クリエーティブクラウド)。そしてAcrobatを核とするDocument Cloud(ドキュメントクラウド)だ。これらに加えて、デジタルマーケティングから顧客体験中心へとその領域を拡げるExperience Cloudが加わる。

これらには、アドビが投資を進める人工知能・機械学習「Adobe Sensei(アドビセンセイ)」も深く関与する。またExperience Cloudは、クリエーティブ、ドキュメントの各クラウドとの連携を行いながら、企業に対して顧客体験中心ビジネスへの移行を促すことになる。

また、マイクロソフトとの提携を強化し、マーケティングとCRM(顧客関係管理)の連携などを図る。

Adobe Summitでは、アドビのソリューションを活用して成長するさまざまな企業の事例が登場する。その中から「顧客体験中心ビジネス」(Experience Business)を学ぶことができるのが最大の特徴だ。

基調講演では、米国携帯電話業界第3位へと急成長を遂げたT-Mobileや「選手一人ひとりがマーケッター」としてエモーショナルなマーケティングを行うNBAのほか、ナショナルジオグラフィック、インテルといった企業がその取り組みを紹介した。

アドビが提唱する「顧客体験中心ビジネス」とはいったい何なのか。

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