クスリの大図鑑 <高血圧> 新薬ARBが急成長 7月から一部が特許切れ

 あなたのクスリ、合っていますか?−−自分や家族の飲んでいる薬をもっと知ることが健康や安心につながる。効き方から市場シェア、選択肢の有無、後発品との価格比較、新薬開発動向まで、主な12の病気のクスリについて掲載。

生活習慣病の代名詞である高血圧。患者数は3500万人とも4000万人ともいわれる。しかし、実際に治療しているのは半分にすぎないのでは、とも指摘される。

製薬各社はこの膨大な患者数に照準を当て、新薬開発に精力をつぎ込んだ。結果、選択肢は非常に多い。

最も古い部類に属するのが、尿と一緒に塩分を排出する利尿薬だ。その後、昇圧作用を持つ交感神経の働きを抑えるβブロッカー(効き方[1])αブロッカー(効き方[2])や、血管細胞を収縮させるカルシウムイオンを抑えるカルシウム(Ca)拮抗薬(効き方[3])が次々に登場した。

研究が進み、血圧を上げる物質であるアンジオテンシンIIが注目されるに至ると、アンジオテンシンIがアンジオテンシン変換酵素(ACE)と結びついてアンジオテンシンIIに変わるのを防ぐACE阻害薬(効き方[4])、さらに、アンジオテンシンIIがグローブの働きをする受容体にくっついて血管や心臓に作用するのを防ぐARB(アンジオテンシン受容体遮断薬、効き方[5])が世に出た。

最も新しい薬であるARBは、降圧効果に加えて臓器を保護する点が医師らに好まれ、1998年に初の製品ニューロタンが発売されて以降、一気に主力製品へと上り詰めた。現在、高血圧薬市場に占めるシェアは約47%と半分近く、次いでCa拮抗薬が34%。βブロッカー等はどれも1ケタ台にとどまっている。

医薬品全体で見ても存在感は大きい。2007年のARB市場は推定4900億円超(前期比15%増)と、2位のCa拮抗薬(3570億円、4%増)、3位の高脂血症薬スタチンの2900億円(6%増)にぶっちぎりの大差をつけている。とりもなおさず、ARBの最大製品ブロプレスは日本で今最も売れている薬でもある。

処方現場からは「処方箋の数ではCa拮抗薬もまだまだ多く、薬価が高い分、市場が膨らんで見えるのでは」という声の一方で「新しい患者にいきなりARBを処方するケースも増えてきた」という指摘も。今年4月の診療報酬改定では、“売れすぎた薬”の薬価を狙い撃ち的に下げる「市場拡大再算定」を食らった。

「完成度の高い薬」(メーカー関係者)であるARBの登場で、役者はほぼ出そろったとみられ、製薬各社は開発の重心を“配合剤”へと移している。1粒飲めば2種類以上の成分が一緒に摂れるという薬で、飲みやすさ・飲み忘れ防止などの面からも期待されている。06年12月には万有製薬からARBと利尿薬の合剤プレミネントが発売されたほか、各社の新薬候補も数多く控えている。


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