GE、シーメンスVS日立製作所 真の勝者は誰か――総合電機徹底比較【海外編】

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この間、およそ6万人の社員が影響を受けたといわれる。かつては人件費の高いドイツ人が多かったが、グローバル採用を進めた結果、ドイツでの雇用比率は32%へ低下した。

バイエルから診断薬事業を買収した生体外診断部門がまだ牽引役に育っていないといった状況も一部にはある。12年度10~6月期決算は事業環境の悪化もあり、税引前利益3割減と振るわなかった。

ただ、ロシャ会長はそこですかさず手を打つ。3カ月後の通期決算発表時には2年間の集中プログラム「シーメンス2014」を宣言。2年間で60億ユーロのコスト削減を行い、14年度に利益率12%超を目指すとブチ上げた。

鉄道や物流、スマートグリッドなど消費者により近い事業を切り出して「インフラストラクチャー&シティーズ」という新しいセクターを立ち上げるなど、集約に続く次の方向性も打ち出している。

日立が3強に入る条件 焦点は半導体装置と電力

日立製作所が復活を超えた再成長へ歩を進めるには、GEとシーメンスがしてきたように、コア事業への集中が欠かせない。前出の平川リサーチアナリストは、「具体的には半導体製造装置と電動工具が売却対象になる」と言う。半導体製造装置はHDD並みに収益の変動が激しい。電動工具は海外の売上高比率が高いものの、社会インフラとの相乗効果は期待しづらい。火力を三菱重工業との合弁会社に移管した電力事業に関しても、「経済論理だけで考えれば、原子力もこの新会社に移行させたほうが合理的だ」(平川氏)。

一方、情報通信、社会産業、メディカルはM&Aや提携による事業強化が必要となる。たとえばメディカルについては日立メディコおよび、日立ハイテクノロジーズの診断用装置事業を統合し、経営資源が分散した状況を解消するといったシナリオが描ける。

「残念ながらわれわれの数歩先を行っている」(中西氏)2強をとらえるためにも、日立は改革の手を決して止められない。

週刊東洋経済2013年2月2日号

週刊東洋経済編集部
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