「しつけ第一」で子どもをスポイルする親たち 一番大切な「基本的信頼感」が育たない

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しかり続けるだけの”しつけ”は、子どもに弊害をもたらす(しげぱぱ / PIXTA)
よかれと思って、子どもを否定してしまうような子育て、教育をしてはいませんか?子どもが「自分なんかダメだ」思うような言い方や態度をしていないでしょうか。
この連載では、教育評論家の親野智可等先生が、子どもを伸ばす「親の力」についてお伝えしていきます。

私は公立小学校の教師として23年間教壇に立ち、担任として650人の子どもを受け持ちました。公立ですので実にいろいろな子どもたちがいました。”しつけ”という点から見ても実にさまざまでした。

食後の歯磨きが当たり前にできる子と、できない子。食事のマナーが身についている子と、そうでない子。あいさつがよくできる子と、できない子。整理整頓ができる子とできない子。やるべきことをてきぱきできる子と、人の2倍の時間がかかる子。実にいろいろです。

でも、子どもたちと毎日一緒に過ごしていて本当に大変だとか、将来が心配だとか思わせる子は、しつけができていない子ではありません。それは、「自己肯定感」と「他者信頼感」が持てないでいる子です。

「自分は何をやってもダメだ」

教育評論家、親野智可等先生による新連載です

歯磨きができない子でも、歯磨きの大事さを説明してあげて、やるように促せば、そしてできたことを認めてあげれば、だんだんできるようになります。食事のマナーが身についていない子も同じです。もちろん、簡単に身につかないものが多いですが、それでもすこ~しずつよくなってはいきます。

ちょっとくらいしつけが不十分でも、子どもらしい素直さと元気があれば大丈夫です。この2つがあれば、先生の話も素直に聞けますし、ちょっと褒めれば元気よく頑張ってくれます。ですから、だんだん何とかなっていくものなのです。

でも、自己肯定感と他者信頼感がない子は、そうはいきません。自分は何をやってもダメだと思い込んでいるので、頑張る元気もわいてきません。

また、他者を信頼することができないので、先生の言うことを素直に聞けません。ほかの子を信頼することもできないので、友達もできにくいです。他者に対して被害妄想的になっていることが多いので、自分を守るために攻撃的になってしまうことも多いです。

次ページ「自己肯定感」と「他者信頼感」が持てなくなる理由とは?
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