エディーとオシム、智将の「考えさせる」技術 「試して育てる、考えさせる」はこうやる

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ラグビー界で目立たない存在だった日本を一躍有名にしたエディー・ジョーンズの育成術とは(撮影:今井康一)

ラグビー日本代表を変えたエディー・ジョーンズが、さらなる快進撃を続けている。

ラグビーの欧州6カ国対抗戦第4節が11日に行われ、前日本代表ヘッドコーチ(HC)のエディー・ジョーンズ監督率いるイングランドはスコットランドに61対21と大勝し、4戦連勝で次の最終節を待たずして2連覇を決めた。

「試して育てる」というキーワード

2015年W杯予選プール敗退と低迷した同国をいまや完全復活させた智将は、そのW杯で優勝候補だった南アフリカを下し、「ラグビー史上最大の番狂わせ」を演出。ラグビー界で目立たない存在だった日本を一躍有名にした。

彼はなぜ、行った先々で結果を残しうるのか。

世界トップコーチの人材育成術を探究していくと「試して育てる」というキーワードにたどり着く。

1日5部練習など、ハードな練習が取りざたされることの多かったエディー・ジャパン。他のナショナルチームでは見られない厳しいトレーニングはすでに伝説化しているが、昨年インタビューに応じたエディーはその理由をこう明かしている。

「他国と日本では、私の仕事はまったく違うものになった。ひとつはストレングス(体力や筋力の強化)だ。ほかの国の選手はクラブで代表に見合った体を作ってから合流するが、日本は代表チームのなかでそれをやらなくてはいけない」

もうひとつの仕事は「自ら考える・取り組む」という主体性の強化だったという。

「他国の選手は、もともとそんなふうに育てられているので、そのようなメンタリティがあった。だから、私がそこに気を使わなくてもできていた。ところが、日本には足りなかった」

試合で「キックを有効利用していこう」と声をかけると、日本の選手たちはキックしかやらない。僅差で負けていて絶対にボールを離してはいけない場面でも、安易にキックをして相手ボールにしてしまう。指導を始めた当初は、選手一人ひとりが自ら考えて工夫できない場面が目立った。

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