独身貴族ほど「老後資金の不足」に苦しむワケ 「誘惑」に負けない老後資金の貯め方とは?

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「おひとりさま」は、おカネを目の前の楽しみのために使ってしまいがちです(写真:Graphs / PIXTA)

冷蔵庫に“第3のビール”は1本もない。服やかばんはブランドもので固められている――。

正社員で、ある程度収入のあるようなおひとりさまが送る、こんな優雅な生活を見て、うらやましく思う人も多いでしょう。実際、生涯未婚率(50歳時点での未婚率)が高まり、直近の2015年では男性が23.4%、女性が14.1%と過去最高値を更新し、あえて「結婚しない」人も中には出てきています。

「おひとりさま」の老後資金は、家族世帯の2倍必要!?

しかし、こうした「おひとりさま」たちが直面するのが、老後資金の問題です。場合によって異なりますが、家族世帯の5割増しから2倍程度の老後資金を用意しておく必要があると思います。なぜならば、おひとりさまのほうが2つの理由で老後資金へのニーズが高いからです。

第1に、日々の生活コストが高いことがあります。正社員でそれなりの年収を得ながら独身生活を送っている人であれば、結婚して子育てをしている世帯と比べればおカネの余裕が生まれるため、それを自分が「今をエンジョイ」するために回してしまいます。子どもを1人育て上げるためには、学費関連費用だけで少なくとも1000万円以上がかかります。統計的には、子育て全体の費用が2000万円程度かかるという見方もあります。

独身者は、その”浮いた”分のおカネを自分のためだけに使えるのです。20~30代のうちはそこまで収入に余裕がないかもしれませんが、それでも40代、50代と独身生活を重ねていくうちに給料が上がると、昇級分もそのまま眼前の楽しみのために使ってしまいます。

しかし、同じレベルの生活を定年後も維持できると思ったらそれは大間違いです。公的年金は、月20万円ももらえません。会社員や公務員が厚生年金に加入していた場合で、平均的には16万~17万円程度になるでしょう。退職金だけでは、おそらく老後をやりくりするだけで精一杯で、現役時代の独身生活のようには使えないでしょう。定年後も生活水準を落とさずに暮らしていくためには、現役時代におカネを貯めておくしかありません。

第2に、身の回りの世話をしてくれる配偶者や子どもがいなければ、サービスとしておカネで買うしかないということがあります。たとえば、食事を作る余裕がなくなれば、給食サービスを利用する、その他の家事にまで支障が出るようになったら、介護サービスを利用するしかありません。終身介護つきの老人ホームに入れば、家事や介護の心配は減るものの、入居時や毎月支払うおカネが負担になります。いずれにせよ、「おひとりさまは自分の老後もおひとりさま」という覚悟を決めて、おカネを貯めていく必要があります。

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