「朝」の関西大手私鉄、一番速い列車はどれだ 関東編に続き特別料金不要の列車を比較

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トップバッターは日本最大の私鉄、近鉄だ。路線図を見ると、改めてその広範囲に延びる路線網に驚かされる。何しろ大阪・奈良・京都・三重・愛知の2府3県にまたがり、営業キロは501.1キロメートルに及ぶのだ。まずは難波線・奈良線の近鉄奈良─大阪難波間(32.8キロメートル)から見ていこう。

ちなみに近鉄の特急は伊勢志摩へ向かう「しまかぜ」や、「上質な大人旅へ」をキャッチフレーズにした観光列車「青の交響曲(シンフォニー)」など、鉄道ファンに愛されるものが多いが、これらはすべて特急券が必要となるため、対象は快速急行や急行だ。

難波線・奈良線では6時55分発の快速急行(神戸三宮行き)が最も早く、所要時間40分で表定速度は49.2キロ。地図上で見ると、この路線は奈良から大阪へ向かって東から西へとほぼカーブなしで進む。その割には遅いという印象もあるが、特急も6時51分発の列車が39分かかっており、そう考えると特急とほぼ差のないこの快速急行は速いとも言える。

奈良県内から京都に向かって延びる橿原線・京都線(橿原神宮前-京都間58.4キロメートル)で最も速いのは急行で、7時06分発の京都行きは所要時間72分・表定速度48.7キロ。こちらも同じ区間を走る特急と比較してみると、所要時間59分で急行と13分しか違わない。特急料金は900円だから、通勤に使おうという人はいないかもしれない。

大阪線・名古屋線は表定速度60キロ超

次いで大阪線(伊勢中川─大阪上本町)を見てみよう。伊勢湾から大阪湾までをつなぐ全長108.9キロメートル、全区間乗り通せば長い旅である。最速の快速急行は所要時間108分(6時58分発・大阪上本町行き)で表定速度60.5キロ。ここで近鉄初の表定速度60キロ超えが出た。続いて急行も所要時間120分(7時17分発・大阪上本町行き)、表定速度54.5キロとなかなか速い。

続いて、大阪線と合わせて名阪間を結ぶ動脈を構成する名古屋線(伊勢中川-近鉄名古屋)。伊勢中川から伊勢湾沿いに四日市市を通って近鉄名古屋まで北上する78.8キロメートルの路線である。これが速く、急行が所要時間77分(6時26分発・近鉄名古屋行き)、表定速度は61.4キロだ。座ることができれば、快適な通勤ではないかと想像してしまう。

近鉄の最後は、奈良県の吉野から大阪阿部野橋まで、うねうねと曲がりながら斜めに北上していく南大阪線・吉野線(吉野─大阪阿部野橋)64.9キロメートル。やはりカーブが多いせいか、最も速い急行で所要時間88分(6時17分発・大阪阿部野橋行き)、表定速度は44.3キロという結果となった。

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