アマゾンが密かに進める「越境対策」の中身 日本からの配送・現地プロモーションを拡充

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アマゾンジャパンは中華圏の消費ニーズに応えるため、密かな取り組みを進めていた(撮影:尾形文繁)

アマゾンの日本版ショッピングサイトをPCで開くと、ページ上部に「言語設定」のためのボタンがある。サイトの言語表示を、日本語以外に英語、中国語(簡体字)に切り替えられるのだが、実はここ1年ほどで、翻訳の精度が大きく向上しているのをご存じだろうか。

「これまでは、たとえば英語の画面で注文したのに確認メールは日本語で来るなど、中途半端な状態だったが、そういうものを一気に解消した」(アマゾンジャパン、消費財事業本部の前田宏統括事業本部長・バイスプレジデント)。

サイトは中国語への切り替えが可能になった

英語は2016年3月、中国語は同年6月に対応が完了。足元でも言語別に円滑なサイト内検索ができるようにしたり、詳細な商品説明まで翻訳の範囲を広げたりと、いっそう対応を深めていく方針だ。

日本では主に、日本人顧客向けのサービス拡充を推進してきたアマゾンジャパン。だがここへ来て上述の言語対応を始め、海外向けの日本製品販売、いわゆる「越境EC」に関してもあらゆる手を打ち始めている。

中華圏の消費者を取り込み

背景にあるのは、中華圏に住む一般消費者の買い物行動の変化だ。2014年頃から訪日外国人による一部日用品・家電の“爆買い”が話題になったが、足元ではその需要も一服。一方で、20~30代の若い富裕層を中心に、ECを活用して、より気軽に、日常的に海外製品を購入しようとする動きが拡大している。

そういった買い物の際、最も多く利用されているのは「天猫国際(Tmallグローバル)」や「京東全球購(JD Worldwide)」など、中国国内のEC大手が運営する海外製品購入モールだ。だがそれに加え、最近では国外のサイトに直接アクセスし買い物しようとするケースも徐々に一般化し始めている。国内のモールだけでは、どうしても商品点数が限られてしまうためだ。

アマゾンジャパンも例外ではなかった。「これまでは(中国本土の顧客向けが軸の)アマゾンチャイナでもサービス拡充を行ってきたが、それとは別に、ここ数年で中国のお客様がアマゾンジャパンに直接買いにきてくれる流れが加速している」(前田氏)。だがほとんどの製品が海外配送に対応していなかったため、機会ロスになっていたのだ。

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