【完全保存版】東電株主総会、全議事録(1) 3時間41分にわたるやりとりを、すべて公開

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一方、費用面では、徹底的な経営合理化により総合特別事業計画における削減目標額を大幅に上回るコスト削減を達成いたしましたものの、原子力発電所の運転停止や燃料価格の上昇等に伴い、燃料費が大幅に増加したことなどから、経常費用の合計は9.7%増の6兆3,647億円となりました。

以上によりまして、経常損失は3,269億円となりました。
 また原子力損害賠償支援機構から、資金交付金や固定資産等の売却益など9,139億円を特別利益として計上する一方、事故の被害者の方々への賠償に要する費用など、1兆2,488億円を特別損失として計上したことなどから、当期純損失は6,852億円となりました。

事業別の業績は、報告書の3ページから4ページに記載の通りでございます。次に報告書の5ページに記載の24年度に実施した施策についてご報告申し上げたいと思います。

当社は昨年5月に国の認定を受けた総合特別事業計画のもと、経営合理化を徹底するとともに、電気料金の値上げや1兆円の増資により、大幅な資本増強を実施し、当面の財務基盤を確保いたしました。また、委員会設置会社に移行し、取締役の過半数を社外出身者とするなど、経営の客観性、透明性の向上にも努めております。さらに賠償費用等により財務リスクが増大する中、事業環境の変化や急激な企業体力の劣化を踏まえ、昨年11月に再生への経営方針を策定いたしました。この経営方針の下、当社は巨額の財務リスクについて、国による新たな支援の枠組みを早急に検討するよう要請するとともに、改革集中実施アクションプランを取りまとめ、この実現に取り組んでまいりました。

本年1月には賠償や除染等の拠点となります福島復興本社を設置いたしました。また原子力につきましては、福島第一原子力発電所の1号機から4号機の廃止措置作業を迅速かつ確実に実施するとともに、国内外専門家、有識者からなる原子力改革監視委員会の監視のもと、原子力改革に取り組んでまいっているところでございます。

続きまして、報告書の6ページ以降に記載の対処すべき課題についてご報告申し上げます。

当社は今後も被害者の方々への親身・親切な賠償や長期におよぶ原子炉の廃止措置に責任を持って取り組んでまいる所存ではございますけれども、賠償、除染費用や原子炉の廃止措置関連費用など、被害の地域的広がりと被害額、復旧必要額などの大きさから見て、国家的難題に直面しております。

また電力システム改革により競争がさらに激化するなど、事業環境が一層厳しさを増している中、引き続き電力の安定供給を確保していくためには、原子力の安全対策を強化するとともに、経年火力発電所の適切な運転、リプレースなど、電力設備の運用更新を確実に実施していくことが不可欠であります。

こうした中、現在の支援の枠組みのみで対応した場合、国に依存した状態から脱却することは、長期にわたって困難となってまいります。また将来への展望が見出せない状態が続きますと、事業活動に不可欠な資金の不足や人材の流出などにより、企業体力の劣化が加速していくことは避けられません。その結果、全面自由化への対応はもとより、安定供給の確保に支障が生じるとともに、賠償や廃炉などの責務を持続的に果たしていくことも厳しい状況になってまいります。

次ページ「親身・親切」な賠償を徹底・進化
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