シェールガス革命で、日米の黄金時代が到来 太陽光発電は、次世代エネルギーの「本命」ではない

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これで、中国勢の太陽電池における世界シェアは80%以上になり、まさに太陽電池王国を築くことになるが、世界のエネルギー情勢の中でどれほどのインパクトがあるのかについては疑わしいばかりだ。

太陽光発電は、けし粒のような存在でしかない

日本においても、メガソーラーブームでおそらくは450カ所以上の大型プロジェクトが持ち上がっており、買取価格が高いことからハゲタカの外国勢が日本荒らしに乗り出してきている。しかしながら、これらのメガソーラーがすべてフル稼働したとしても、日本国全体のエネルギー消費の1%もカバーできない。どだいが、太陽電池という世界は市場でいえば、せいぜい5兆円程度であり、石油400兆円、石炭200兆円という既存の化石燃料市場にとってはけし粒のような存在でしかないのだ。

こうした状況下で米国発のシェールガス革命の波が世界を覆い始めた。エネルギーのkWhあたりのコストは石油10円、太陽光25~30円に対し、シェールガスはたったの6円。しかも埋蔵量は既存の天然ガスと合わせ、アメリカだけで少なくとも150年はある。CO2も石炭と比較すると40%減、石油と比較すると10~15%減とあまり出さない。太陽光、風力をはじめとする再生可能エネルギーは、そのバラ色の夢が一気にトーンダウンしてきたのも無理はない。今も昔も、どんな領域においても「安くて使い勝手の良いもの」には決して勝てないのだ。

米国では現在1万本のシェールガス採掘を進めているが、来年にはこれが2万本になる。何しろ、石油と違ってピンポイントで見つけられるだけに、どんどん掘れるのだ。これがコストの安さにもつながっている。

加えてシェールガスからは、石油由来とほぼ同様の原料が安価に作れるので、太陽光と比べればその付加価値はとんでもなく高い。米国勢はシェールガスを原料とするエチレン工場建設に着手しており、ダウとエクソンが既に大型投資を実行、いずれも3500億円を投入する。加えてサソール、シェブロン、フォルモサなども次々とエチレンの新工場建設をアナウンスしており、これらの設備投資はトータルで1兆5000億円にもなる。

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