欧州でも胎動見せる「大衆迎合主義」のうねり

オランダの「EU離脱」は避けられたが

ルッテ首相率いる自由民主党が第1党を維持(写真:ZUMA Press/amanaimages)

オランダの下院選挙が3月15日に実施され、当初の予想を裏切って政権与党の自由民主党(VVD)が勝利した。自由民主国民党党首のマルク・ルッテ首相の率いる政権が第1党を確保する見通しになった。

当初、第1党に躍進すると見られていたポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「自由党(PVV)」は、第1党には届かなかったものの20議席を獲得している。オランダの下院選挙は、28もの政党が比例代表で150の議席を奪い合う特殊なスタイルで、そのために選挙で第1党になったからといって、そのまま政権を掌握できるわけではない。

ただ、「モスク閉鎖」「イスラム教徒(移民)排斥」「EU離脱」といったスローガンを掲げる極右政党・自由党が、前回の2012年の総選挙と比べて大きく躍進したことは事実で、ヘルト・ウィルダース自由党党首も一躍時の人となった。

オランダは、EU(欧州連合)の中でも豊かな国の部類にありながら、英国同様に移民排斥、EU離脱を選択する人間が急速に増えたことになる。自由党は、選挙前にはイスラム排斥とともにEU離脱を前面に押し出して、英国同様にオランダ(ネザーランド)の名をベースにした「NEXIT(ネグジット)」の文字がオランダ中に躍った。

フランス、ドイツに連鎖する「ポピュリズム政治」?

2017年は、欧州の総選挙の1年と言える。オランダの次はフランス大統領選挙(4月23日、5月7日)、フランス国民議会選挙(6月11日、18日)、ドイツ連邦議会選挙(9月24日)と続く。2018年5月にはイタリア総選挙がある。

昨年、国民投票によってブレグジットを決めた英国では、英国議会の承認も得て、3月中には「EU離脱宣言」を正式に行う予定になった。「リスボン条約第50条」を正式に発動して約2年をかけてEUを離脱することになっている。

今回のオランダ総選挙は、EU離脱に拍車がかかるかどうかの試金石と言えるもので、2017年に迎える「欧州リスク」の最初のハードルだったわけだ。

そもそもオランダは、EU諸国の中でも積極的に移民を受け入れ、多様な価値観を重視する国家だった。そのオランダが移民排斥、EU離脱を掲げる政党に票が集まること自体、異常と言わざるをえない。

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