「尾崎牛」のグローバル化が映す和牛の危機

価格高騰と飼育者減の間で悩む

生きながらに熟成が進んでいるためか、焼いても肉が縮まない尾崎牛(写真:筆者撮影)

焼き肉好きを中心に知る人ぞ知る、宮崎のブランド牛「尾崎牛」をご存知でしょうか。日本航空国際便のパリ発→羽田便ファーストクラスの洋食メニューに採用実績(2015年3月)があることでも有名で、世界のセレブたちの舌をうならせてきました。

尾崎牛とは、宮崎県の牛肉商尾崎(代表:尾崎宗春氏)の運営する牧場で子牛の頃から育てられた牛のみに与えられる称号で、日本では牛肉商自らの名で市場に出ている唯一のブランド牛です。いわゆる松阪牛などと同様のブランド牛扱いになります。

日本では牛肉商自らの名で市場に出ている唯一のブランド牛

私も尾崎牛を何度も食しています。特徴は、脂があっさりしている割にうま味が強い正肉と、他の和牛との違いはレバーやハツなどの内臓肉の味がしっかりしていて非常にうまいことです。理由は長期肥育と生きたまま熟成させる技術にあります。

通常、肉牛として出荷するのは生後28カ月が一般的ですが、尾崎牛は生きたまま長く熟成させたほうが、脂の融点と赤身の味が安定すると、30~34カ月の飼育期間をかけてから肉牛を食肉処理しています。焼き肉で尾崎牛を焼く機会があったとき、以前から焼いても肉が縮まないと聞いてはいましたが、生きながらに熟成が進んでいるためか、本当に焼いても肉が縮みませんでした。

なぜ尾崎牛はグローバル化を急ぐのか?

そんな尾崎牛ですが、驚くことにすでに25カ国に牛肉を輸出しており、うち、EUに関しては14カ国に輸出しています。外国人に知名度の高い神戸ビーフでさえ、2015~2017年度2月までの実績で17カ国にとどまっています(出所:神戸肉流通推進協議会サイトからカウント)。

尾崎牛がこれほどまでに輸出国の拡大を急ぐ理由は3つあります。

1つ目は、焼き肉のもとになる子牛の価格高騰に起因しています。牛枝肉の高騰は「東京で『セルフ焼き肉』が密かに流行する理由」(2016年10月21日配信)にも書きましたが、中長期で見ても将来の牛枝肉になる子牛の価格が高騰しています。

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