新社会人が慌てて保険に入るべきでない理由 営業マンの勧誘攻勢に即応してはいけない

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新社会人の皆さんも「すでに複数の保険に入っている」のです。その内容を知らないまま、民間の保険への加入を検討するのはおかしな話なのです。

勤務先には「福利厚生制度」としてさまざまな保障が用意されていることもあります。国や勤務先の保障が充実しているほど、民間の保険に加入する必要性は下がり、自由に使えるおカネが増えます。公的な保険や勤務先の制度を知るのが先決なのです。

「新社会人に本格的な死亡保障などは不要だとしても、入院等に備える『医療保険』は必須では?」と考える向きには、保険に明るい保険会社の人たちが「健康保険が最強の医療保険」と認識していることをお伝えしておきます。

健康保険では加入者負担に上限が設けられている

たとえば、民間の医療保険では「1回の入院につき、入院給付金の支払日数は60日を限度とし、通算1095日とする」など保険会社の負担に上限を設けています。保険会社の健全な運営を考えると当然のことです。

ところが、健康保険の「高額療養費制度」では、1カ月の医療費について、健康保険ではなく、加入者の負担に上限が設けられています。標準報酬月額26万円以下の方の場合は、5万7600円です。手術を伴う入院で数十万円の医療費がかかった場合にも6万円未満の持ち出しで済むわけです。

低所得者や高齢者の負担はさらに低くなるなど、民間企業には難しい運営がなされていることを知ると、保険会社の人たちの見解にもうなずけるでしょう。

また、健康保険には「傷病手当金」もあります。病気やケガで仕事に就けなくなった場合、最長1年6カ月、給付が受けられる制度です。たとえば、給付以前に12カ月以上の勤務がある場合、日額は「支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額」÷30日×(3分の2)で計算されます。

つまり、医療保障に加え「休業補償」「所得補償」もあるわけです。ほかにも、1児につき42万円が支給される出産育児一時金など、さまざまな補償があります。

次ページ通常の給付に上乗せして「付加給付」を行うところも
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