欧米ほどではないが、日本でも広がる貧富の差。そのうち昨今、特に注目の集まるテーマが「貧困」だ。東洋経済オンラインでも貧困に苦しむ人たちの実態を数本の連載で追っている。
一方、貧困世帯の対極には「富裕層」がいる。彼ら、彼女たちはどのようにお金持ちになり、どんな日常を送っているのだろうか。本連載では富裕層ビジネスを知り尽くした筆者が、お金持ちのリアルにフォーカス。その第5回は家業を20倍以上に育てて、財を成した70代男性のリアルをお届けしよう。
(編集部)
本人の年収は3億円前後
清宮義男さん(仮名、74)は、茨城県で創業90年を超える老舗精密機械系メーカーの会長を務める。東京理科大学卒業後の50年前に家業に入り、20年前から4代目社長として経営の舵を取ってきた。入社当時15億円程度しかなかった売上高は現在約300億円。従業員数は現在500人を超える。本人の年収は3億円前後だ。
2人の娘さんはともに結婚し、いまや孫が3人。「まさか自分が『じーじ』と呼ばれるときが来るとは。孫はかわいいもんだね」と時折はにかむ。本人が主催するホームパーティを3日に1度は開催しており、誰彼となく話しかける気さくな一面も持つ一方、自社株式を視野に入れると総資産は200億円以上に及ぶ一大資産家で、本業が手堅く推移しているのはもちろんのこと、次なるビジネスへの大型投資も進め、抜け目がない。
とはいっても本人が家業に入ったときは、「田舎では『地元の名士』っていわれていたけれども、実際の会社は借金だらけで、ここ20年くらいでようやくカネがたまり出したんだよね。メーカーっていうのはそんなものなんだよ」(清宮さん)。
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