糸井重里社長「上場後の楽しみは優待と総会」

上場したほぼ日、「ポスト糸井」も課題に

――今回の上場で、ほぼ日は5億円強の資金を調達します。その使途は?

いくつか新事業を用意しています。それらは小さいサイズで始められるけれど、ちょっと始まっただけですぐに人手が必要になる。たとえば新事業の1つに挙げている「生活の楽しみ展」(期間限定で各地に展開する"商店街"、見本市の要素も持つ)は、実際に大々的に人が集まる「場」をつくるので、場にかかわる人、さまざまなコンテンツを発掘して一緒にやっていこうという人を集める人、それから運営をできる人も必要になる。営業の人とか兵隊さんというより、本当に頼りにしたい人が何人かずつ会社に入ってくる。だいたいは他社を辞めてきてくれるわけだから、それだけうちの会社に魅力がないと誘えない。その体制づくりまで含めて「ヒト」に使う。

――いちばん求めている人材は、それこそクリエーターとかコピーライター的な才能を持った、何十年か前の糸井さんのような方ですか。

そういう人材はけっこう、今でも来やすい場所なんですね。もう少しビジネスのセンスを磨いている人、それから技術、ITに絡んだ部分に強い人材。募集するといちばん来るのはやはりライターとデザイナーで、その仕事はこれからもあると思うが、彼らがビジネスを一生懸命、一から勉強して学ぶよりは、もうちょっと専門の人が来てくれたほうがいい。工場一つ建てるのと人一人雇うのは同じとよくいわれるが、そういう決意でやっていく。

優待は手帳よりも「笑っちゃうような」もの

――今回、ほぼ日の公開価格は2350円に決まったが、注目度のわりに公開価格は安いともいわれています。『週刊東洋経済』2015年4月18日号の巻頭特集「糸井重里の資本論」では糸井さんのコメントとして、「自分たちは小さく上場したい」というのがあった。その考えが公開価格にも反映したのですか。

「大きく成長します」ということで人が集まってくるのではなくて、ここに集まりたいという人たちが集まることで成長していく。(株価や時価総額が)何倍にもなるということを自慢するつもりはないし、メリットもない。(上場によって)今まで小さくやって来られたことがちゃんと続けられて、なおかつ、これからの分の下ごしらえがちゃんとできるのであれば、5年、10年経ったときにちゃんと成長していると思う。一生懸命育てているように思えないのに、こんなに育っちゃうんだというのが理想ですよね。

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