森友学園「保育園なのに16時半で終了」の驚愕 大阪市ぐるみで「従えないなら転園せよ」

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保育園の場合、入園するうえで選択の余地がない場合もある。森友学園が運営する保育園に子どもを通わせる、ある小学校教諭は、園長からたびたび「家庭で育児をするべき」と忠告され、精神的なストレスで休職に追い込まれてしまった(写真は建設途中の瑞穂の國記念小學院。撮影:今井康一)

学校法人森友学園の問題が大きな節目を迎えた。4月に開校予定となっていた「瑞穂の國記念小学院」の申請が取り下げられ、籠池泰典氏が理事長の職を辞任するとして記者会見を行ったためだ。

しかし、森友学園の問題は何も解明されていないと言ってよい状態だ。理事長の辞任など「それがどうした?」という程度の話である。理事長の妻をはじめとした一族支配は変わらず続く。籠池氏自身も小学校の設置申請をまたやると明言している。これでニュースが取り上げなくなるとすれば、「トカゲのしっぽ切り」にまんまとだまされたという話だ。数年経ち、皆が忘れかけた頃にまた申請が行われる可能性はある。大きな疑念の全体像がつかめないまま、小学校の申請取り下げと理事長辞任という目くらましで幕引きにされてはならない。まだ第1幕が終わっただけだ。

土地取引をめぐって政治家の口利きがあったか、なかったのか。どうして億単位の土地の価格が引き下げられたのか。積算根拠となったゴミはあったのか、なかったのか。そして、園の財政状況、教育者としての資質に疑念があるにもかかわらず、なぜ「瑞穂の國記念小学院」は認可適当とされたのか。

森友の保育園に“入らざるをえなかった”家庭もある

特に、教育内容に関する大きな問題は、まだ残されたままだ。幼稚園や保育園で、在日の保護者の出自を差別する手紙を送り、園の通信でもヘイトスピーチ的な内容を垂れ流していた問題。明確に教育基本法に違反する政治的内容を教え込むことの問題。「時間内に給食を食べきれなかった子を、正座させて食べさせる」「おもらしや嘔吐をした子に謝罪させる」など、虐待としか言いようがない数々の体罰や心理的苦痛を乳幼児に与えていた問題。こうしたあまりにも大きな問題に対して、はたして大阪府と市の監査はまともに機能していたのか。

森友学園は保育園を運営している(社会福祉法人肇國舎が運営する高等森友学園保育園)が、保育園の入園は、保護者の希望を受けて役所が割り振りを行う。居住地域や入園希望時期によっては選択の余地がなく、ここに入らざるをえなかった家庭もあったはずだ。そしていずれにせよ、日々幼稚園・保育園を利用する子どもたちには、事実上、選択権がない。

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