鴻海・郭会長が「サムスン潰し」に乗り出した

中国に巨大パネル工場作り、世界制覇へ一手

中国広州市のパネル工場建設地で取り囲まれる鴻海精密工業の郭台銘会長(写真:今周刊)

中国・広州市の南香山のふもとに位置する増城区。ここは広州市政府が台湾の鴻海精密工業(HONHAI)のために作った工業団地の予定地だ。広州白雲国際空港からわずか1時間、1.5平方キロメートルの敷地は、サッカー場が200個入るほどの広さ。鴻海はここに世界最大の10.5世代液晶パネル工場を建設する。投資総額は2800億台湾ドル(約1兆円)である。

3月1日には工場の起工式が行われた。見渡す限り黄色い土の空き地が広がる。道路は新しく作られたもの。この工場は、韓国のサムスンや中国の京東方(BOE)と競い合い、世界トップを奪い取るための作戦基地となる。工場を通じて、技術と歩留まりで世界最先端を行く日本の堺ディスプレイプロダクト(SDP)、台湾の群創光電(Innolux)、さらには米ペンシルベニア州で建設を予定しているもう一つの大型工場など、液晶パネル分野で鴻海グループの傘下企業を結び付けることになるのだ。

1兆円投じるサッカー場200個分の大工場

午後1時半、ここに主役である郭台銘(テリー・ゴウ)会長がさっそうと姿を現し、笑顔を満面にたたえて自ら、広東省の胡春華書記、仁学鋒副書記、広州市の温国輝市長などの高官を案内した。100社以上の設備や部品・素材のサプライヤーも勢ぞろい。これは中国の改革開放以来、1件当たりの投資としては広州市最大のハイテク事業だ。

郭会長は、目の前に広がる広大な荒れ地を前にして、こう語った。「完成すれば、ここは世界最先端、最大の8K液晶パネルの工場になる」「われわれはシャープの技術を持ち、世界で唯一、第10世代液晶パネルの生産能力と経験を持つ企業だ。このため、われわれが生産する液晶テレビの歩留まりは、他の競争相手より絶対高い。われわれは準備を整え、そして追いついたのだ」。さらにこう続けた。「今日は重要な日だ。私はここに、約束を実現するためにやって来た。世界をリードするハイテクを確立するために」――。

広州市のGDPを成長させる、この重要な顧客を迎えるため、増城区の道路には歓迎の旗が並べられた。そしてLED電光掲示板には、「SHARP」「Foxconn(鴻海の中国事業である富士康科技集団の英語名)」の名前が表示された。

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