「ごちそうさまでした」に込もる懺悔と感謝 「いただきます」も同時に考えてみよう
このような背景から、一般的に表現される「ごちそうさまでした」の英訳は、日本語の意味に合致しているように思えます。
「ごちそうさまでした」の英訳に学ぶ
しかし、私はどうも通常の英訳に寂しさを感じずにはいられません。なぜならば、これらは食事を摂取できたことご縁への感謝の気持ちにフォーカスされ、そのご縁の中身には触れることなく、表面的な意味しか表現されていない気がするからです。
ここで注目したいのが、食前の言葉である「いただきます」の解釈です。「いただきます」を「いのちをいただきます」と意訳すると、「ごちそうさまでした」の意味は、それに対応して「いのちをいただきました」となり、英語では「I had your life」となります。また、「いただきます」に含まれる懺悔と感謝の深意を抽出して、「多くのいのちを奪ってしまい、申し訳ありません。有難くいのちを頂戴いたします」と解釈すると、「ごちそうさまでした」は「多くのいのちを奪ってしまい、申し訳ありませんでした。有難くいのちを頂戴いたしました」という意味となり、「I am so sorry for taking your life and am greatly appreciate to have been able to have your life」と英訳できます。
つまり、「いただきます」の解釈によって、「ごちそうさまでした」の意味も変化するということです。「いただきます」の解釈が深ければ深いほど、それに比例して「ごちそうさまでした」の解釈も深くなり、英訳した際に人間の内面を表現されるようになります。この二つの言葉はワンセットであることに改めて気が付かされました。
英訳することで、何を思い「ごちそうさまでした」という言葉を口にすべきなのか明確にすることができました。ついつい忘れがちな食後の言葉、「いただきます」とともに、大切にしたいと思います。
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