日産新型ノート、「充電不要EV」がウケた理由 新駆動方式「e-POWER」をセレナにも搭載へ

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もう一つは、アクセルペダル一つで加減速を可能にしている点だ。e-POWERではアクセルペダルを離したときに強めに減速することができる。慣れればペダル一つで速度調整や停止が可能となり、ブレーキペダルへの踏み換え頻度が大幅に下がる。

これは減速時のエネルギーを回収して駆動用電池に充電する「回生協調技術」を応用したもので、エンジンブレーキよりも減速度合いは強い。日産の実験ではe-POWERを運転した場合、市街地走行でブレーキペダルに踏み換える回数が従来車より約7割減るという。

来店客の試乗を徹底的に促進

東京・目黒にある日産ディーラーでは、店先に試乗車がずらりと並べられていた(記者撮影)

ただこうした訴求点は、いずれも一度車に乗ってみなければわからない。日産は「”来店者の100%試乗”を目標として掲げた」(南チーフマーケティングマネージャー)と言うほど、e-POWERの試乗に力を入れる。

多くの販売店で、1店舗当たり2台の試乗車を用意した。車検や点検などで販売店を訪れた人には、乗っている車種にかかわらず積極的に試乗を提案している。

実際に試乗の効果も表れ始めている。東京日産自動車販売の「新車のひろば目黒店」では最近、3年前に旧型ノートを購入した顧客が早くもe-POWERへの乗りかえを決めた。その顧客は初回車検で店を訪れた際、待ち時間にe-POWERを試乗して加速感が気に入り、「車検代って戻ってこないよね?」と苦笑いしながら購入を即決したという。

テレビCMでは「どこまでも走れる電気自動車のまったく新しいカタチ」というキャッチコピーを打ち出し、航続距離に不安を覚えてEVとは距離を置いていた消費者の目も向けさせようと試みている。従来のノート購入者は他社ユーザーが2割だったが、e-POWERの発売後は3割にまで上がった。

前出の目黒の販売店でも、今年に入ってトヨタ自動車やホンダなど他社ユーザーの来店が増えており、販売員が試乗を促す前に、顧客から「e-POWERに乗りたい」と言い出すことも珍しくないという。この店における2月のノートの試乗回数は1営業日当たり14.1回で、前年同月から4割以上伸びた。

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