アマゾンのリアル侵食に小売りが対抗する手 オムニチャネルで武装する局面に来ている

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アマゾンがリアル業態へと侵食してきています(撮影:梅谷 秀司)

流通のイノベーションがやってくる

「アメリカは、日本の3年先を走っている」

日本の流通業界でよく言われる話です。アメリカで事象が起きた3年後に、日本の流通のイノベーションがやってくることを意味しています。拙著『2時間でわかる 図解オムニチャネル入門』で解説しているオムニチャネルも、まさにそうです。2011年ごろにアメリカで話題が盛り上がり、日本で「オムニチャネル元年」と呼ばれたのは2014年でした。

オムニチャネルとは、「買い物に際し、購入、受け取り、決済、商品のピッキング方法と渡し方が複数用意されており、それらを利用客の希望に合わせて効率よく商品を届ける仕組み」です。言うなれば「利用客が商品を欲しいと思ったときに、いつでもどこでも注文でき、希望する場所で受け取れる」インフラのことです。

オムニチャネルが一段と進んでくると、リアルとネットの壁が突き破られてきます。そして、ネット通販の巨人であるアマゾンが、今まさにリアル業態に入ってきている象徴的な出来事が進行中です。

今年1月末の午後5時、筆者はサンフランシスコ発のヴァージンアメリカでシアトルに到着しました。シアトルは米アマゾンの本拠地です。暗闇の中、「amazon」の大きなロゴマークが光る物流センターをレンタカーで横切り、本社に近い中心街のホテルにチェックインしました。

今回の渡米で最も目当てにしていた場所を訪れました。「アマゾン・グローサリー・ピックアップ」、いわゆる食料雑貨の受け取り拠点です。この業態はアマゾンの従業員を含めてほとんどの人が知らないでしょう。それもそのはず。まだ開業していなかったのです。

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