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再生力で自力浮上!
プロに聞く企業活性のカギ 中小企業金融円滑化法期限切れを迎えて

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2回にわたる期間延長ののち、今年3月末で終了となった中小企業金融円滑化法。金融庁からの金融機関に対する指導もあり、中小企業の資金調達などに対する大きな影響は聞こえてこない。ただ、プロは今こそ自社の強みを見つめ直し、事業基盤を強化し攻める時だという。これからの中小企業が目指すべき戦略について、元慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授で企業再生に詳しい許斐義信氏に聞いた。

企画・ビジネスメディアパートナーズ
制作・ビジネスメディアパートナーズ/ MGT

厳しい経営環境を前向きにとらえ
中小企業は今こそ事業基盤の強化を図るとき

財務改善に偏重しない
根本的な企業再生を目指す時がきた

―― 近年の企業を取り巻く経営環境の変化についてどのようにお考えでしょうか。

元慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
一般社団法人日本事業再生士協会 代表理事
許斐 義信(このみ よしのぶ)
1944年福岡県生まれ。67年慶應義塾大学工学部機械工学科卒業。76年慶 應義塾大学大学院工学研究科(管理工学専攻)修了後、三菱商事、三井物 産を経て、99年慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授。 複数の企業の役 員、会社再建にかかわる、経営コンサルタントとして活躍。著書に『素材産業 再生の総合戦略』(日本経済新聞社)、『ケースブック 事業再生』『ケースブッ ク 企業再生』(編著、中央経済社)など多数

許斐 1990年のバブル崩壊後、大企業はリストラやコストカット、投資の抑制によってキャッシュフローの担保を急ぎました。製造業の現場では、海外企業との相見積もりまでとって厳しい値引き交渉をしている状況すら見受けられます。結果として大企業の負債は減りましたが、中小企業の負債は減りませんでした。そのうえ、現金取引よりも信用取引が商習慣として根強い日本においては、つなぎの運転資金がその分必要となりますから、中小企業の資金繰りを圧迫するケースが多くなります。

―― そのような状況下で施行された中小企業金融円滑化法も終了しました。

許斐 同法を利用したのは40万社と言います。確かにこの対症療法的な金融支援措置によって倒産を免れた企業もあります。一方で、同法の利用予備軍だった中小企業の数も相当数に上るのではないかと考えています。私はそのような企業も含めて、今こそ根本的な企業再生に取り組まなければならないと思います。

―― 根本的な企業再生に取り組むためには何が必要なのでしょうか。

許斐 企業再生には、財務、組織、事業の3つの着眼点があります。現時点の財務上の問題や企業組織内部に抱える問題を解消しながら、顧客・市場・競争などの経営環境に対応していかなければなりません。

再建手続き中の企業においては、債権者の損失を最小限に抑えることに力点が置かれますが、それ以上に事業の構造を強化して将来の事業をうまく成長軌道に乗せられるかどうかが重要です。財務面を主眼にして再建しても、本来の事業基盤に手を入れなければ再び倒産の危機に瀕することになるからです。中小企業に今こそ必要なのは、事業基盤自体の強化なのです。

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