リクルートテクノロジーズ

人工知能(AI)が創るビジネスの未来 リクルートテクノロジーズがディープラーニングに注力する理由

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汎用性とカスタマイズ性の両立で
必要なテクノロジーが手軽に使えるように

株式会社リクルートテクノロジーズ
ITソリューション統括部 ビッグデータ部 ビッグデータプロダクト開発グループ兼アドバンスドテクノロジーラボ
グループマネージャー
石川信行

なぜA3RTの開発に至ったのか。リクルートテクノロジーズで同プロジェクトの責任者を務める石川信行氏はその理由を次のように語る。「グループ内では機械学習など高度な分析のニーズが年々高まっていました。しかし外部のAPIは汎用化されているがゆえにリクルートの業務に用いる際にはかゆいところに手が届かず、満足のいく活用ができませんでした。一方で案件ごとにフルスクラッチで自社開発を行うのにもコストがかかる。こうした理由から、リクルートグループに特化した効果的なソリューションの開発に踏み切りました」。

A3RTの実装推進などを担う高橋諒氏はその特徴を「汎用性とカスタマイズ性の両立」と挙げる。「これまで個別に開発してきたソリューションを見ると、事業ごとに出口が異なるだけでアーキテクチャ自体は共有できる点が多々あることがわかりました。ですから、基盤は共有した上でエンハンスを高めることにA3RTは重きを置いています」(高橋氏)。また同プロジェクトでインフラなどの開発に携わる松田徹也氏も「以前のように同じものを繰り返し作るという手間が省かれたことで、代わりにA3RTをいかに簡単かつスムーズに使えるか、プロダクトとしての完成度を高めることに注力できるようになった」と続けた。

株式会社リクルートテクノロジーズ
ITソリューション統括部 ビッグデータ部 ビッグデータ販促・バイト領域グループ
高橋 諒

当初はリクルートグループに特化したものとして開発されたA3RTだが、汎用性とカスタマイズ性を高めていった結果、一般の事業者でも「必要なテクノロジーをいつでも手軽に」使えるプロダクトに仕上がった。

A3RTではすでに「誰でも簡単に利用できるレコメンド用ウェブAPI」や「たくさんの意見の中から代表的なコメントを自動的に抽出できる要約API」など様々なサービスをラインナップしている。それらに共通するのは「人間の単純作業を代替することで、業務を効率的に推進するのを助ける」ということだ。「リクルートは元々、人依存の強い会社でした。しかし生き字引のような人たちにばかり頼ったビジネスモデルでは永続しません。機械にナレッジを移行させて属人性を取り払うことで、若手であっても同じように作業へ取り組むことができる。ベテランの知見やノウハウは生かしながら、より生産性を高められるようになったのです」(石川氏)。

A3RTを一般向けに無料開放
その背景に込められた思いとは?

A3RTの公式サイト。こちらから誰でも利用することが可能に

リクルートテクノロジーズはこれまで社内向けに提供していたA3RTを3月16日より無料で外部に公開することを決めた。その理由について石川氏は次のように語る。「これまで人工知能の領域をリードしてきたアマゾンやグーグル、IBMなど大手5社が昨秋に連携を発表したように、この分野をより成長させていくためにはいかにオープンイノベーションを加速させるかが鍵になります。現状ではディープラーニングというと特別な技術、難しいものというイメージが根付いていますが、私たちはそれを生活に溶け込んだ当たり前のものにしていきたい。そのためにも、まずは実際に多くの方へ触れてもらうきっかけとして無料公開に踏み切りました」。

株式会社リクルートテクノロジーズ
ITソリューション統括部 ビッグデータ部 ビッグデータインフラグループ兼ビッグデータプロダクト開発グループ
松田徹也

もちろん、無料公開をすることはリクルートグループにもメリットがある。ディープラーニングは活用される機会が増えるほど新たな学習データが蓄積されていき、精度を向上させていくことが可能だからだ。利用者からのフィードバックにより新しい活用法のヒントが得られるかもしれない。だからこそ「ぜひ皆さんにA3RTを積極的に使ってもらい、些細なことでも問い合わせてほしい」(松田氏)という。

コーポレート・ビジョンに「業界を驚かせるレベルで、テクノロジーの開拓と、そのビジネス実装が実現している」ことを掲げる同社。今後も「無難に作るのではなく新しいことにチャレンジ」(松田氏)するテクノロジー面と、「技術に偏り過ぎることなくサービスドリブン」(高橋氏)なビジネス面の両輪を回しながら未知の領域に挑戦していく。いまは画像や文章、レコメンドなどに限られている事業領域も、今後は生体認証やVR、IoTなどニッチな領域まで広げていきたい考えだ。

ディープラーニングを始めとした人工知能には無限の可能性が広がっている。テクノロジーの力によってビジネスにイノベーションを生み続けるリクルートテクノロジーズから、今後も目が離せなそうだ。

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