地方は結局「若者」を排除して自ら衰退する 「若者に活躍してほしい」は、ほとんど口だけ

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「地元で人気のお店を経営している」ということは、「何が地元で求められているのか」を掘り起こすマーケット感覚に優れている証拠です。さらに「多数のスタッフを雇えている」ということは、マネジメント能力に長けているということです。そのような若くて有望な人材に重要な役割や立場を与えずして、どうしてその地域が発展するのでしょうか。

結局、上役たちが欲しいのは「地方に必要な、いい若者」ではなく、自分たちにとっての「都合のいい若者」なわけです。上役の好き嫌いではなく、有能である人材を認め、役割を渡せるかどうかが、地方の未来を分けていきます。

「若者は『キツい仕事』を安く引き受けて当然」は傲慢

次に「サポート人材」です。若者に、自分たちにできないことを頼むときの「頼み方」にも大きな問題があるのです。結果として、サポート人材を失っているケースが多々あります。

よく「地方活性化のために、若者のアイデアと行動力に期待したい」と言いながら、実際は自分たちがやりたくないことを押し付け、若者に支払う報酬は自分たちよりも低く設定するのに何の躊躇もなかったりします。

さらに、せっかく手を挙げてきた若者たちに「期待ほどではなかった」などと、「上から目線」で批判的な評価を平気で下したりします。そんなことをしているうちに、本当に誰も来なくなります。

私が20代のころ、とある地方経営者が集まる会議において、「最近の若者は我慢が足りない」と経営者の方々が盛り上がる現場に出くわしたことがあります。そのとき、私は「従業員の我慢が足りないのではなく、むしろ従業員に不当な処遇をしているのではないですか? この場所に『従業員の我慢に頼らない経営』を考える人はいないのですか?」と言って、場がシーンと静まり返ったのを思い出します。

地方の経営者たちがこんな考え方では、地方に必要な業務を遂行してくれる人材層は、より恵まれた機会を求めて、別の都市へと移動していくわけです。

次ページ「年齢が若いだけの保守的な人」が残ったら、もうおしまい
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