田中規制委員長「東電だけでは解決不能」 東電、汚染水の海洋流出で信頼また失墜

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今回の問題で、汚染水処理での東電に対する信頼性はさらに失墜。東電が進めようとしている「地下水バイパスによる海洋放出計画」も実現が遠のいた。

ただ、福島第一原発の原子炉建屋には、毎日400トンもの地下水が流れ込んで汚染水を増やしており、敷地内は汚染水を貯める1000基以上のタンクでいっぱいになりつつある。抜本的な対策は急務だ。

「海に捨てられるようにしないと解決しない」

田中委員長は24日の会見で、「海側トレンチ(坑道)にたまった高濃度汚染水を早急に取り除くことが(海洋流出を防ぐ)いちばんの対策だ」と強調。

また、汚染水増大の抜本的対策として、「(放射性物質の濃度が基準以下の)水を海に捨てられるようにしないとにっちもさっちもいかないだろう」とも述べ、漁業などの風評被害については別途その手当てを考える必要性を指摘。「こういうことも一緒に考えないと問題は片付かないので、(政府をはじめ)関係者が総力を挙げて取り組むべきだ」と語った。

東電の信頼性が失墜している中、福島第一原発の安定確保を図るには、規制委自身が一歩前に出て、現場で調査やデータ収集を行う必要性が取りざたされている。田中委員長はそのためにも、規制委の態勢強化を検討していくとの意向も表明した。

(撮影:梅谷 秀司、写真は7月3日の定例会見)


 

中村 稔 東洋経済 編集委員
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