イエレン議長「紫の勝負服」に込められた思い

FRB「3月の次」の利上げとその影響を読む

2月14日の議会証言では、イエレン議長の決意のほどを示す紫の勝負服だった(写真:AP/アフロ)

3月3日はブラックアウト前の最終日だった。ブラックアウトとは中央銀行の政策決定会合のメンバーが、会合前に金融政策に関する発言を禁じる期間のこと。FRB(米国連邦準備制度理事会)の場合、FOMC(公開市場委員会)開催の2週間前の土曜日から開催終了までとなる。

この日、イエレンFRB議長はシカゴで「経済見通し」について、フィッシャーFRB副議長はニューヨークで「米国の金融政策決定」について講演した。正副議長の2人が違う場所で同時講演することは珍しく、3月の利上げを真剣に考えているのなら、強いメッセージで市場に織り込ませると筆者はみていたが、その通りになった。

イエレン議長は「次回会合で追加の政策金利の調節が適切か判断することになる」と述べ、利上げ検討の方針を明確にした。フィッシャー副議長も質疑応答で、利上げを支持する態度を明確にした。3月14~15日開催のFOMCでの利上げは、ほぼ確実といってよい。

2月14日には狼煙を上げていた

今から3週間ほど前、2月14日にイエレン議長は議会証言で「追加利上げは今後数回の会合で判断する。待ちすぎは賢明ではない」と踏み込んだ発言をした。ちゃんと狼煙を上げていたのだ。その後22日に発表された1月31日~2月1日開催のFOMC議事録では、雇用や物価の改善が想定通りか、予想を上回る場合には「かなり早い時期に追加利上げをすることが適切になる」と、多くのメンバーが認識していることが明らかになった。

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しかしながら、昨年12月の利上げ実施直前の11月FOMC議事要旨では、一部メンバーが「次回会合で利上げすべきだ」と明言していたのに比べると、今回の表現は弱いと受け止められ、市場の3月利上げ観測は後退した。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループのFedウォッチによれば、2月23日時点で市場が織り込む3月利上げの確率は22.1%と低かった。

ただし、2月1日時点の議論では材料が十分揃っていなかっただけで、その後に堅調な1~2月指標が幾つも発表されている。その点を市場は読み間違えた。筆者は、市場が十分に織り込まない状況では、FRBが利上げするのは難しいと考えてしまった。

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