極右と安倍首相の親密関係こそ問題の本質だ 森友学園問題を欧米メディアはどう報じたか

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エコノミストは3月2日にアジア版で配信した記事(リンク先記事の表記は4日付け)で、安倍首相が学校用地の売買についての関与を否定し、同学園が「安倍晋三記念小学校」の文言で寄付金を集めていたことについて、「何回も断っているにもかかわらず、寄付金集めに名前を使われたことは本当に遺憾」として、同学園に抗議した点を記す一方、過去には籠池氏を称賛していたことを指摘する。籠池氏を「教育に情熱を持っている」と持ち上げ、「同じイデオロギーを共有する」とまで述べたことがある、と。

安倍氏と籠池氏、引いてはその学校の教育方針には一定の共通点があったのではないかと暗示している。

教育界に広がる右派勢力

ニューヨークタイムズのジョナサン・ソブル記者は、日本の教育界の流れに注目している(2月24日付記事)。一連の事件は「日本で影響力を増している、右派的な教育運動の暗黒部に光を当てた」。

「安倍首相や日本の保守勢力は頻繁に、教育界にはリベラル系の偏向があると主張してきた。左派系の教師が日本の戦争犯罪について『マゾ的な』説明を広げ、伝統的価値観よりも個人主義や断固とした平和主義を振興しているのが学校教育だ、と見なしてきた」

「安全保障関連法案に反対する学者の会」発起人でもある学習院大学の佐藤学教授によると、塚本幼稚園は「右派勢力の抵抗」が極端な形で現れたものだという。「平和主義と民主主義を基本原則とする戦後の教育体制の拒絶だ」。

ソブル記者は、安倍首相が、塚本幼稚園で行われていた教育をソフトにしたバージョンを支持しており、日本の教育を抜本的に変えることを政治家になってからの優先事項としてきた、と指摘する。

安倍首相と国粋的教育を行っていた森友学園とは、少なくとも教育方針という点では関連性があったとの見方がここでも示唆されている。

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