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カーセンサーが挑み続ける「中古車市場改革」

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かつて、おとり広告やメーター改ざんなどの“悪習”も取りざたされ、中古車業界に不安や抵抗を感じている人はいまだに少なくない。だが、現在では大きく健全化が図られ、中古車の購入手段もネットへとシフトしている。そこには、苦戦が続く業界において、カスタマー重視の改革に挑戦し、新たな需要を喚起する「カーセンサー」の取り組みがあった。

トレンドは縮小傾向でも大きな落ち込みはない

国内の新車販売台数は1990年の約780万台をピークに長期的な右肩下がりが続いている。2000年以降の新車販売台数はベースとして500万台で推移し、中古車は現在およそ700万台を切った辺りだ。そのため「若者のクルマ離れが進んでいる」といったイメージも先行しているが、果たして真相はどうなのか。「カーセンサー.net」のマーケティングを統括する中村与希氏は、次のように分析する。

「新車も中古車も縮小傾向にあるのは確かですが、実際、販売台数の減少幅は対前年に比べると1%程度の微減で、そこまで落ち込んではいない。15年は消費税増税の駆け込み需要の後で消費の冷え込みが見られましたが、今後も大幅な減少は起きないと見ています」

少子高齢化の人口動態に合わせてマーケットも下がってきてはいるが、それ以上のクルマ離れは起きていないというのが中村氏の見方だ。若者が購入しなくなったと言われる自家用車だが、地方では今なお生活必需品。首都圏や都市部でもカーシェア事業の業績は伸びていることから、クルマ離れというより維持コストに対してシビアになっている傾向がうかがえる。

リクルートマーケティングパートナーズ 自動車事業本部 ブランドマネージャー
中村与希

「都市部では確かにクルマとの触れ合い方が変わってきています。そうした大きな流れの中で、業界がその流れに反発できるほどの良いトピックを打ち出せていないのが現状です」(中村氏)

自動車マーケットが低迷トレンドにある中、中古車情報サイトを運営する「カーセンサー」は、より幅広いカーライフの選択肢を提供するためにどのような取り組みをしてきたのか。まず、挙げられるのが業界の健全化だ。「カーセンサー.net」のサービス開始は96年。「一物一価」と言われ、同じものがない中古車は、販売店の言い値で価格が決まってしまうのが常であり、当時は消費者を販売店に誘導するための「おとり広告」や走行距離を巻き戻して価格をつり上げる「メーター改ざん」などの違法行為も横行していた。

「それでは他の真面目にやっている販売店さんのビジネスが成り立たない。販売店は弊社にとって広告主ですが、この商習慣を断ち切らないと弊社の営業マンも誇りを持って仕事をすることができません。そこで当社は、業績は二の次で、おとり広告の徹底排除に乗り出したのです」(中村氏)

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