イタリア人に学ぶ「NOと言える人になる」方法 国連職員が学んだ「価値観の差超える」仕事術

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イタリア人の中には、相手の気持ちを害するとわかっていても「NO」を言える人がいます。そのコツとは?(写真:wavebreakmedia / PIXTA)
社会で働いていれば、自分とは価値観が合わない人、考え方の違う人と出会い、苦悩することも多いはず。でも、仕事をする目的は共に働く人と仲良くやっていくことではなく、自身の目標を達成することではないでしょうか。
価値観の違いを超える仕事術』の著者で、国連世界食糧計画(WFP)の職員である田島麻衣子氏は、日本生まれで日本育ちですが、仕事でこれまで7カ国に住み、60カ国以上の国籍の人々と働いてきました。この経験の中から、価値観の違う人たちの中で仕事をするうえでのコツをご紹介します。今回は、イタリア人と仕事をしてわかった、「NO」の言い方です。

「NO」と言えない日本人は、イタリア人に学べ

本当はヘトヘトの状態にもかかわらず、上司から仕事を頼まれたら「わかりました!」とカラ元気で答えてしまった――。そんなこと、ありませんか。

頼まれごとに対して、即座にNOと言えない日本人は多いはずです。日本人の美徳の1つには、勤勉でまじめ、そして努力家であることが挙げられますが、相手に頼まれたことを完璧にこなそうとするまじめさは、それが自分のキャパシティを超えたときに裏目に出てしまいます。

なぜ私だけがこんなにたくさんのことをしなければならないのか、そんな自己犠牲感が消せないときは、現状を見直すよいサインです。でも、どうやったら角を立てずに、相手の依頼を上手に断ることができるのでしょうか。そこで登場願いたいのが、イタリアの人々です。頼まれたことを断って、相手の気分を害するかもしれない場面で、イタリアの人々はどう対応するのか。彼らの切り抜け方から、私たちが参考にできるヒントを探ってみたいと思います。

私は、2006年から国連世界食糧計画に勤務し始めました。そして、2007年から2011年まで貧困層の学校給食プロジェクトの運営のために日本を飛び出しラオスに赴き、次なるプロジェクトをスタートさせるため、2011年からはイタリアへと移り住みました。

数年にわたった途上国暮らしを経て、ローマに引っ越した初日のこと。配属先の部署にたどり着くと、人懐こそうな笑みをたたえた大柄のカナダ人上司が出てきました。定年間近で白髪に覆われたその顔は人のよさそうなサンタクロースそのもの。

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