崎陽軒、「シウマイバル」出店の意外な狙い そこにはあふれんばかりの横浜愛があった

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「今回出店した東京駅の一番街の『にっぽん、グルメ街道』というエリアは、日本全国の各地域から名産を提供する店を集めています。当社も神奈川を代表する形で選んでいただいたと認識しています。(野並直文)社長は、『あそこは地域の名店が集まって切磋琢磨する甲子園のような場所だ。1回戦負けは許されない!』と言っていました」と、野並専務は話す。

「もちろん、野球のトーナメントのように、お店同士が直接対決をするわけではないので、勝ち負けがハッキリと決まるわけではありません。しかし、甲子園のような場所で、他店に負けないよう力を磨いていけば、地元に戻ったときにも強豪校でいられる。そうすれば、地元のお客様にもより多くの価値を提供できるようになる。この繰り返しが崎陽軒にとって大切なことなのだと考えています」

「横浜市民からシウマイの製造販売を委託されている」

つまりは、地元・横浜への還元のための、東京駅へのバル出店なのだと力説する。なんて、地元愛の強い会社なのだと感心していると、野並専務はさらにこう続けた。

「われわれは、崎陽軒という会社を、横浜市民からシウマイやお弁当の製造販売を委託されている会社だと認識しています。ですので、市民の皆様の了解なしに、シウマイやお弁当の味やアイテムを変えることは許されないのです」。事実、シウマイの材料やレシピは販売を開始した80年以上前から一切変えていないし、お弁当のおかずをちょっとでもいじったりすると、お客からおしかりの言葉を受けるのだそうだ。

話を聞いているうち、シウマイ弁当ファンの1人として、ちと嫉妬心を覚えてしまったことを、正直な感想として述べておこう。

横浜市民の皆さん、うらやましいぞぉ~~~!

さて今回、東京駅に出店したバルの好調を受けて、2軒目以降も出店する予定はあるのだろうか。

「バルのフォーマットで2軒目以降も出店していきたいという考えはあります。ただし、オープンしたばかりで、これから改善していかなくてはいけない点は多々あります。飲食の場合、サービス面も厳しく評価されるので、人の教育もしっかりしていかなくてはいけません。食べ物商売は一度、信頼をなくしてしまうと取り戻すのが難しいので……。崎陽軒はかなり慎重な会社なので、まずはしっかり足元を固めつつ、一歩ずつ進めていきたいと考えています」(野並専務)。

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