「Twitterなりすまし」との3カ月全面対決 ある日、「誰か」が自分の名前で投稿し始めた

拡大
縮小
ある日、自分の名前のアカウントが、まったく身に覚えのないことをツイートしはじめました(写真:Graphs / PIXTA)
瞬く間に拡散され、膨大な数のコメントが殺到する――。ツイッターやフェイスブックなどのSNSを舞台にした“炎上”は、いまや日常的なものになった。今や、アメリカ大統領自ら、ツイッターで個人攻撃を繰り返し、「偽(フェイク)ニュース」を拡散する。
ネットとは、もっと自由で、誰もが無料で有益な情報を入手できる希望に満ちた世界ではなかったか? なぜこんなことになってしまったのだろうか?『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』の筆者、ジョン・ロンソン氏が、現在のネットの負の部分に焦点を当て、その深層を分析する。

 

「帰宅。ガラナとイガイをバップに挟んだサンドイッチを作りたい。マヨネーズをつけて食べるやつ。レシピを探そう。大きいのを作る。きっとおいしい」

2012年1月初旬。私は突然、自分ではない「ジョン・ロンソン(@jon_ronson)」なる人物がツイートしているのを発見した。アイコンには、確かに自分の写真が使われ、アカウント名もいかにも自分なのだが、ツイートの内容にはまったく身に覚えがない。

「あなたは誰ですか?」。“彼”に向かってそうツイートしてみたが、反応はなし。料理のことや性的な夢についてツイートし続けている。

別人格の“自分”がツイッター上で生きている

この時点で、フォロワーは20人。中には、私の直接の知り合いもいる。何も知らない人が見れば、間違いなく私の人間性を誤解するだろう。やがて知り合いの中にもこのアカウントを私だと誤解する人が現れた。交友関係が華やかで毎晩遊び回っているような人、と思われたのだ。実際にはまったくそうではないのに。

これは誰かが自分になりすましているに違いない。すなわち、自分の名前を使ったスパムボットを作った人間がいるということだ。調べた結果、スパムボットを作ったのはルーク・ロバート・メイソンという元ウォーリック大学の若い研究者であると突き止めることができた。

次ページロボット化した自分との闘い
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT