モンストが悪夢の急失速から復活できたワケ 年明けに過去最多ユーザーを獲得

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10月初旬にはモンスト本体で、3周年記念の大型アップデートを行った。ゲーム性の改善に加えて、初心者向けのコンテンツである「ノーマルクエスト」をリニューアル。これが新規ユーザーの獲得のみならず既存ユーザーの活性化につながった。初心者ユーザーが効率的にゲームを進めるために、すでにモンストを進めている友人を巻き込んでいったからだ。B.B.Q.戦略による正の循環が再び現れた形だ。

広告・宣伝においては、マーケティングの責任者を入れ替え、テレビCMなどのマスマーケティングを中心とした広告から、ユーザーへの還元を厚くする方針に転換した。10月にはゲーム内通貨である「オーブ」や旅行券などが当たる「ハッピーくじ」を実施。キャンペーンではタレントの上島竜兵さんを起用した。

総額1億1000万円のくじを実施

昨年12月にはモンストの映画を公開©mixi, Inc. All rights reserved.

ダメ押しとして、12月には劇場版アニメ「モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ」を公開。年末には1名に1000万円が当たる総額1億1000万円の「年末BIGボーナスくじ」を行った。結果、年が明けても盛り上がりを持続させることに成功した。

一連の施策で復活を遂げたモンストだが、ミクシィはその手を緩めることはない。4月にはアニメ新章を開始し、5月には実店舗となる「XFLAG STORE」を渋谷にオープンする予定だ。木村氏は「ゲームをプレーしなくても楽しめる、まったく前例のない取り組みを行っていく」と自信をのぞかせる。

つねに失速の懸念と隣り合わせの中、モンストは人気を保ち続けることができるだろうか。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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