パン好きが殺到!横浜「パンのフェス」の凄み 史上空前のブームで増えるご当地パン祭り

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フェイスブックを通じて行った告知では、出店もしくは出品するパン屋の情報を、明らかにパン好きとわかる担当者による記事を随時アップして盛り上げた。

ミシュラン1つ星を獲得したフレンチレストラン「タテル ヨシノ ビズ」による会場限定パン(5400円)。フランス産黒トリュフ入り(写真:ぴあ提供)

そういった事前の期待感が、大盛況につながったわけだが、集客力を支えたのは主催者の情熱である。「パンのフェス」を立ち上げた幅野氏も「自宅の冷凍庫は、冷凍食品を入れる隙間がないほどパンでいっぱい。気になる店では3000円分くらい買う」と語るほど自他共に認めるパン好き。日頃は客としてパンを食べる実行委員たちが、発掘した「おいしいパンを売る店」を口説き落とした結果、魅力的なコンテンツとなって客を呼び寄せたわけだ。

横浜を開催地に選んだ理由は?

有名店だけでなく、横浜に根付いたいわゆる「町のパン屋さん」も多く出店していたのも、人気を得た理由のひとつだろう。「人によって好きなパンは違う。『パンのフェス』には、単価100円のパンもあれば、400円のパンもある。自分の好きな種類のパンだけでなく、それ以外にも新しい発見がある場にしたい」と幅野氏は話す。

開催地に横浜を選んだのは、日本におけるパン発祥の地だから。横浜市は1860年、日本で最初のパン屋ができた場所であり、元町商店街には幕末期にイギリス人が開いた店から計算すると、現存する店として最古のウチキパンがある。

地域活性化の狙いもある。出店者数を昨年から20以上増やした今年は、横浜市綜合パン協同組合ほかで横浜の町のパン屋を紹介することに力を入れる。「全国の一流店のパンと同列に並べることで、両方の味を楽しんでもらいたい」と幅野氏は言う。「横浜市には後継者問題を抱える個人店や、学校給食需要の減少に悩む中小製パン会社が多く、地元とどう向き合うか、という課題を抱えている」

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