トヨタ、元GM副社長の智慧借りる 社外取締役ホーガン氏に聞く

拡大
縮小

――トヨタが直面する問題は。

過去20年間、主要な自動車メーカーは安全や品質の問題に直面してきましたた。これはトヨタだけの問題ではありませんが、重要なことはこうした問題にいかに対応するか、どれだけ早く対応できるかということです。地域別に権限を委譲するという今回の組織改正で、こうした問題に対処できると思います。

――取締役会ではどのような役割を果たしていく?

お役に立てるなら中南米の経験を生かしたお手伝いをしたい。北米はここ4~5年回復基調にあり、あと1~2年は拡大が続くでしょう。トヨタ車は今までは「ちょっと退屈なデザイン」という声もありましたが、今は非常に大きな進化を遂げ、走りにこだわり、主張のあるデザインになりました。北米で勝利する方程式はすべてそろいました。

一方で、中南米は主要国であるブラジルやアルゼンチンで十分な力を発揮していない。成長のカギは製品力とディーラー(販売)網。これらを強化しているので、今後シェアの拡大につながると思う。

デトロイトの政治家は問題を先送りした

――デトロイト市の破綻についてどう考える?

デトロイト市の人口は過去50年に半減したのにインフラの規模が縮小しなかったのが問題でした。誰かが勇気ある決断をしなくてはいけなかったのに代々の政治家は問題を先送りし、これが破綻につながった。トヨタの会社としての学ぶべきことは、意思決定は躊躇すべきではなく、問題を先送りすべきでないということです。構造変化を先取りすべきであるということです。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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