成長ベンチャーが日本経済を発展させていく 第3回ベンチャー大賞を受賞したのは?

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まず、スキンケア・ヘアケアなど化粧品分野で売り上げを上げて研究費を捻出しつつ、難治性皮膚疾患の診断と創薬や、注射を使わない「塗る・貼る」ワクチンなどの開発を進めています。

「パッチ・湿布のような形でワクチン投与ができるようになれば、途上国など医師・看護師の不足しているエリアでの医療の拡大や、在宅治療の充実と医療費削減など、医療革新が期待できます」。山口社長は、注射針のない医療への夢を語ります。

農林水産大臣賞: アーマリン近大<農業ベンチャー賞>

アーマリン近大は、「実学教育」を建学の精神とする近畿大学の水産研究所にルーツをもつ大学発ベンチャー。マグロの中で最も美味であるため海のダイヤと呼ばれ乱獲が進んでいたクロマグロの養殖の事業化・量産化を、完全養殖技術により世界で初めて実現し、「近大マグロ」のブランド化でマーケットに。直営レストラン「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」を営業し、養殖魚のイメージを変えるブランド戦略を推進しています。

マグロ以外でも、水産研究所の技術力と、養殖現場からの要望を積極的に聞き取る丁寧な研究姿勢により、良質な養殖用の稚魚を全国の養殖業者に供給中(シマアジのシェアは80%、マダイは25%程度)。大手百貨店、スーパー、商社との連携も進め「水産資源の枯渇問題」に立ち向かう企業として注目を集めています。

逵(つじ)浩康社長は、「当初、会社法の特例として資本金5万円ではじまった当社が、高い評価をいただき光栄です。日本の漁業振興、天然資源の保護、養殖魚の価値の向上のため、失敗を恐れることなく、新たな事業を創出してまいります」と語ります。

「世の中にないモノを創り出す技術集団」

審査委員会特別賞: セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ<技術革新賞>

セブンドリーマーズは、宇宙開発の分野で培った技術力をベースに、全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」、睡眠時無呼吸症候群およびいびき症患者のためのワンデイディスポーザブルの鼻腔挿入デバイス「ナステント」、フルオーダーメイド・カーボン・ゴルフシャフトなど「世の中にないモノを創り出す技術集団」です。

ランドロイドは、AI・画像認識・ロボティクス技術の融合で、洗濯・乾燥した衣類をピックアップ、種類を識別し、たたんで仕分け、収納します。パナソニック、大和ハウスと連携し、将来、洗濯物を投げ込めば、洗濯、乾燥、折りたたみ、各部屋の棚への収納が自動となる”洗濯という家事のない生活”も実現可能になるかもしれません。阪根信一社長は語ります。

「挑戦するテーマを掲げたとき、”そんなことできるはずがない”と反対意見が多ければ多いほど良いテーマだといえます。誰のモノマネでもなく、暗闇を試行錯誤しながら道を切り開き、アイデアと情熱で誰もなしえなかった新たな技術や製品を生み出すこと。その挑戦の軌跡がイノベーションです。日本で生まれた技術と製品が、再び世界を席巻する一翼を担いたいです」

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