今年後半、タクシーが捕まりやすくなる理由 ドコモ、東京無線などが実験、空車を減らせ!

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タクシー会社と利用者の双方にメリットがあるAIタクシー。今年後半には商用化される見通しだ(撮影:今井康一)

「今から30分後、中央区のある地域でタクシーを走らせれば、効率よく客を拾うことができる」。そんな需要をリアルタイムで予測できるタクシーが、近く実用化されそうだ。

2月17日、春一番が吹きすさぶ東京・代々木。NTTドコモと東京無線が手掛ける「AIタクシー」がベールを脱いだ。AIタクシーとは文字どおり、人工知能(AI)を用いたタクシーのこと。車内の専用タブレットに表示されるのは、向こう30分以内のタクシーを待っている客の人数だ。走行中の地域の周辺を500メートル四方のメッシュで区切り、客数を数字や色で示す。

東京無線の橋本栄二郎・無線委員長によれば、昨年12月の営業車両の走行距離は2814万キロメートル。これは赤道727周分だが、空車走行はその過半の1554万キロメートルで、388周分に当たる。空車で走る時間を減らすことは、収益性を高めるための重要な経営課題なのだ。

空車走行を減らせば二酸化炭素排出量も減らせるので、地球環境に優しい。もちろん、乗客にとっても待ち時間の短縮につながるメリットがある。これがAIタクシーの売りだ。

客待ちの人数が「見える化」された!

ドコモ、東京無線協同組合、富士通、富士通テンの4社が共同でAIタクシーの実証実験を開始すると発表したのは昨年5月。それから同11月まで、需要予測をするモデルを作成するためにデータを収集してきた。対象エリアは東京23区と武蔵野市と三鷹市だ。データ収集には東京無線の4425台のタクシーを用いた。

タブレットにはタクシーを待っている人数の予測が表示される。どちら側の車線が客待ちが多いかといった情報も矢印で示される(撮影:今井康一)

移動需要の予測の基になっているのは、ドコモの携帯電話ネットワークから得られる人口統計と、東京無線によるタクシー運行データ(収集には富士通テンのタクシー配車システムと富士通の位置情報サービスを用いた)だ。これらをNTTグループの人工知能「COREVO(コレボ)」を活用して処理することで、需要を予測している。

昨年12月からは、東京無線系列の4社12台のタクシーに専用タブレットを搭載し、現場での実証実験を行っている(今年3月まで)。

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