企業価値の毀損を最小限にとどめたかった−−岡本孝善 アデランスホールディングス社長

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企業価値の毀損を最小限にとどめたかった−−岡本孝善 アデランスホールディングス社長

今回の取締役候補者を決めた経緯は。スティール・パートナーズから社外役員が入るのは、納得いく選択だったのか。

われわれと(スティールを含む)複数の大株主とで話をし、今回の候補者で合意に達した。5月の株主総会後から発表となった今日(6月30日)の朝までと言っていいぐらい、いろいろ話をしてきた。(定時総会で役員7人の再任が否決される中)企業価値毀損につながるプロセスを最小限にしたいという思いがあった。今後の成長性や株主価値、企業価値の最大化に何がいちばんよいか熟慮したうえで、この道を選んだ。

定時株主総会で役員選任案が否決されたことに対して、株主への説明責任のあり方に問題はなかったか。

株主総会に至るプロセスに関しては、きちっとした情報を出して、通常の説明を行ってきたつもりだ。だが、結果は結果なので、これは真摯に受け止めて反省するしかない。

岡本社長自身が退任を決めたのはいつ頃だったのか。今回の候補者の中に、5月の定時総会で否決された役員もあらためて入れたのはなぜか。

いつとは言えないが、定時総会後からさまざまな選択肢を吟味し、相当早い段階に私自身が退任を決めた。前回の総会での候補者が入っているのは、アデランスグループの経営に携わった経験がゼロでは、会社運営が成り立たないからだ。社外役員以外の今回の候補者は現在の経営でも重要なポジションにいる。そうした人員をあえて外すのではなく、必要な人員と考えて選任をお願いする。

傘下企業の社長である早川清氏を後任に選んだのは、どのような理由からか。

早川は(女性用かつらを手掛ける)フォンテーヌの社長。今の環境下で成長性を見いだせるのは、オーダーメードなど女性向けの市場だ。彼はそれを牽引していくポジションにあり、これから先のグループの成長性を見据えたうえでも適任だと考えた。事業会社との社長兼務になるが、それほど負担はなく、こなしていける。

スティールは今年2月、経営陣に対する提言書を出し、アデランス側は事実上無回答だった。新たな経営陣で経営戦略はどう変わるのか。

スティールからの提言を受け、その中身について真摯に議論や検討を重ねている。新たな経営陣が選任された後、われわれが4月に出した新中期計画がさらに色づけされる可能性はゼロではない。資産活用などいろいろ言われている問題に関しては、理解してもらえるように、もっと説明していく。説明を果たせば、ある程度の方向性は共有できると思っている。
(井下健悟 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

おかもと・たかよし
1949年愛知県生まれ。69年東京都理容学校卒、75年アデランス入社。87年常務、95年社長、2004年会長兼CEO。07年アデランスホールディングス社長。8月開催の臨時株主総会で社長退任予定。

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