「中国人、韓国人」と日本人が働きにくいワケ 合意重視で計画性のある国民性と合わない

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日本と韓国、中国の例も同じ。たとえば、日本人が韓国人と働く場合、積極的に文化的な違いを学ぼうとは思わないでしょう。なので、韓国人が自分の予想していたのとは違う言動をすると、相手を非効率だと思ったりしてストレスを感じるのです。相手がオーストラリア人であれば、最初から文化的な違いがあると理解して、もう少しオープンに対応するのではないでしょうか。

2国間、あるいは多国間の文化の違いにおいて最も重要なのは、「小さな違い」です。異文化を理解するには、何より先に「相手の文化は違う」と認識しなければいけません。だからグローバルスタンダードというのは、非常に危険なコンセプトです。人間も「世界共通」であると考えてしまうと、すべて自国文化の価値観や基準で人の言動を判断してしまうからです。

成果を上げたいなら相手の文化を学ぶべし

――重要なのは歩み寄りかもしれませんが、自分だけ相手に合わせるのは面倒だと考える人もいそうです。

自分が求める成果を上げるには、一緒に働いている人の文化に理解を示し、自分の態度を調整していかないといけません。よく「本来の自分で接するべきか、柔軟な姿勢を優先すべきか」聞かれます。つまり、「日本人的なやり方を重視するべきか、一緒に働く人に完全に合わせるべきか」ということですね。国際的な環境で働く中で成果を出したいのであれば、答えは両方です。いうなれば、左足は本来の自分をキープし、右足は柔軟に動く、というような。

世界で活躍するグローバルリーダーは、この「右足」を十二分に使って、一緒に働く人たちの文化を学ぶこと、より効果的かつ有効的なコミュニケーションをとることに余念がありません。インド人と取引をしているとすれば、どうすればインド人からよい答えを引き出せるかを調べて実行する。英国人と仕事をするのであれば、彼らにとって効果的な方法でコミュニケーションをとる。

ただ、こういう努力をしている企業の経営陣は多くありません。グローバル企業のトップや経営陣に今後求められるのは、各国のビジネスのやり方を熟知し、相手や国、文化によってそのやり方を柔軟に変えることです。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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