キリンが抱く、“缶コーヒー離れ”への危惧 ペットボトル入り「フレーバーラテ」を投入する事情

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博報堂の調べによれば、過去3カ月以内に缶コーヒーを飲んだ人は、30~50代の男性で3~4割。ところが、20代男性となると20%程度まで低下する。女性を対象にすると、この数値はもっと低く20代女性は1割未満。30~50代女性もせいぜい1割前後である。

若い人ほどカフェでコーヒーを飲む

一方、若い世代がコーヒーを飲まないワケではない。実は同じ調査によるとカフェで過去3カ月以内に、コーヒーを飲んだ人は20代男性で約4割、20代女性だと60%近くもいるのだ。女性の場合、若い人ほどカフェでコーヒーを飲んでいる。ここで言うカフェとは、「スターバックス」や「タリーズコーヒー」などのようないわゆるシアトル系カフェを指す。

「コーヒーは、1970年代には喫茶店で、1980~90年代は低価格なコーヒースタンドで飲むもので、主なユーザーは男性会社員。喫煙しながら、というケースが多かった」(山田マーケティング部長)。ところが、2000年代以降は、シアトル系カフェの普及によって、コーヒーはゆっくり時間を過ごす飲み物となり、自宅でも職場でもない“サードプレイス”としてのカフェの利用が、若年層をはじめ若い世代に定着した。その過程で、「エスプレッソ・ラテ」がコーヒーカテゴリの中で一般化した。キリンが、缶ではなく、PETボトル入りの「カフェデリ」の展開に至った理由の一つはここにある。

缶コーヒーにとって、ライバルは今やシアトル系カフェだけではなくなった。多種多様な業態がコーヒー市場に参戦している。たとえば、マクドナルドは2008年にコーヒーをリニューアルし、「100円なのにおいしい」とこれまでのイメージを覆しヒット。マックに続けとばかり、セブン-イレブンをはじめとするコンビニ各社がカウンターコーヒーに乗り出しているほか、オフィス向けの「ネスカフェアンバサダー」、家庭向けの「ドルチェグスト」などのエスプレッソマシンの普及を図るネスレ日本などの存在もある。

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