3月ダイヤ改正「あの」名物列車は生き残るか 変わった経路の列車や長距離普通の行方は

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では、変わったルートを通る列車たちはどうなったか。JR九州では、宮崎を出て日豊本線を鹿児島方面に進み、吉都線・肥薩線をグルリと回って隼人へ向かう列車や、田川伊田(福岡県)から日田彦山線・久大本線を通って大分へ向かう列車は残った。北海道の倶知安と苫小牧を結ぶ、日本で唯一のディーゼルカーと電車を連結して運転する列車も残った。

だが残念なことに、JR東日本では変わり種の列車がいくつか廃止される。高崎(群馬県)から上越線、両毛線、東北本線を経由して黒磯(栃木県)までを結んでいた列車は、時刻と運転区間を変更。黒磯ではなく、手前の宇都宮止まりとなってしまった。

岡谷(長野県)から中央本線の辰野支線を経由して松本へ、さらに大糸線に入り南小谷まで運転されていた普通列車は、岡谷-信濃大町間の列車と、信濃大町-南小谷間の2つの列車に分けられてしまった。111.1キロを3時間47分かけてのんびりと走る、味わいのあるダイヤだけに残念だ。もっとも、ダイヤが見直されたことで南小谷到着は現在より31分も早くなるので、一般の利用者にとっては嬉しい話なのだが……。

このほか、IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道・JR東日本八戸線の3社にまたがって運転されていた小鳥谷(こずや)発鮫行きの普通列車は青森行きに変更されてしまい、このエリアでの3社直通列車はなくなってしまった。3つの会社にまたがるため運賃は割高で、運転距離は59.9キロと短いものの全区間を乗り通すと1570円もかかる、ある意味では贅沢な列車だけに残念だ。

「味のある列車」を探して

ダイヤ改正は、各路線の利用状況に合わせて、鉄道会社が車両の運用効率をよくするために行うもの。長距離列車は、遠くで起こった事故や悪天候による徐行運転などで列車が遅れた場合、幅広い地域にダイヤの乱れを引き起こす原因となるので、なくなるのは仕方のないことだ。変わった区間を走る列車も、ポイントの切り替えなどは複雑になる。年々味のある列車が減って行くのもやむを得ない。

そんな中でも、今回の高尾発長野行きのように、時代に逆行するような長距離列車が誕生することもある。そういう列車を発見してニヤニヤするのが、時刻表ファンにとってのダイヤ改正号なのだ。

そんな楽しみ方をするのは、もしかしたら筆者だけなのかもしれないが……。

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