ルンバだけじゃない、アイロボットの挑戦 ついに、自分の分身ロボットまで登場?

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ところが、その年はアイロボットにとって転換の年にもなったのだ。その年の年末までには、パックボットをアフガニスタンに送ったり、ルンバを発表したりして、売り上げが一気に3倍以上に膨らむ。しかし、それでもはっきりとした利益が得られるようになるまで時間がかかった。

ルンバも、当初は一部の「新しい物好き」の小売店チェーンで販売しているにすぎなかった。大して売れない日々がずっと続いた。ところがある日、そのチェーンの担当者から電話が入る。「どうですか。まだ在庫はありますか」とアングルが電話口に出ると、相手はこう言った。「フル回転して製造はどれだけできますか?」そこからの快走ぶりは周知のとおりだ。

ルンバ以外にも、家事ロボットは多数

今や、一般家庭で活躍する同社製のロボットは、ルンバのほかにもいくつかある。床の拭き掃除をしてくれる「ミント」、バスルームの床をゴシゴシと洗ってくれる「スクーバ」、樋を掃除してくれる「ルージ」、泳ぎながらプールをきれいにする「ミラ」などだ。いずれも、ロボットとは思えない小ささで、手頃な値段で販売されている。同社の家庭ロボットは、昨年末までに800万台以上売れた。

アングルは、小さな頃からモノ作りが好きだったという。3歳のときには、故障した家のトイレを自分で直した。母親にモノの仕組みを解説した本を読んでもらいながら、トイレの図解を見て、部品がどういう仕組みで組み合わされているのかを学びながらのことだったという。家の中でベルトコンベヤーを作ってみたりもした。マサチューセッツ工科大学に進むのは、自然な成り行きだった。そんな発明心を後押ししてくれた母の力も大きい。

アイロボットが軌道に乗って以降、アングルにはいろいろ考えるところがあった。たとえば、会社の創設当初は面白いモノを作ることに没頭していて、ビジネスセンスに欠けていたと実感する。

「もし、あの頃に何が社会で求められているのかをつかめていたら、もっと早く安定していたはず。この問題はいつでもついて回ります」

一時は、消費者に受け入れられる製品を作ろうと焦って、ミルクを飲んでおしゃべりをする赤ちゃんロボットを開発したこともあった。

自分の分身になるロボット、登場

そして、アイロボットが持つ技術の強みをどういった分野で発揮すべきかも、アングルがいつも考えていることだ。最近、同社はテレプレゼンス・ロボットと呼ばれる自走ロボット製品「エイヴァ500」を発表した。これは、離れた場所にいるユーザーが、アヴァ500を動かして別の場所で歩き回ったり、人に会ったりすることができるというものだ。

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